R-15スプラッター時代劇『妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク』14日公開! 流血、斬首、血飛沫… 坂本浩一監督が“見どころ”を語る

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©️2022 REMOW

 ニンジャとサメをテーマとした奇想天外なアクション映画が届けられた。

 あらすじはこうだ。

 ときは江戸時代。人里離れた沖津村の浜に村人の惨殺された死体が上がる。邪教集団・紅魔衆の首領・螭鮫士郎は不老不死の力を得る為に呪術を使い、鮫を操る事によって村で採れる真珠を強制的に村人から巻き上げていたのだ。この状況に業を煮やした村長は、助太刀を頼むべく村外れの寺にいる用心棒の潮崎小太郎に会いに行く。報酬とともにその仕事を一旦引き受ける小太郎だが、その行く手を菊魔と名乗る女忍者が遮ってきた。村人の沙代を生贄として鮫士郎に捧げようとする村長に反発する信助と共に、鮫士郎に戦いを挑む小太郎だが、その前に現れたのは、この世の物とは思えない巨大な鮫…。遂に実現する、忍者対鮫の究極バトル!生き残るのはどっちだ!!

 主演となるニンジャの小太郎役には『ウルトラマンZ』の平野宏周。もうひとりの主演の信助役には『仮面ライダーゴースト』の西銘駿。ライバルの鮫士郎には『仮面ライダー響鬼』『仮面ライダー電王』の中村優一と元ヒーローが集合している。ヒロインは、女優であり、空手世界一の長野じゅりあ、女忍者には宮原華音と配役にも隙がない。

 そして、監督を務める坂本浩一の経歴がスゴい。16歳からスタントマンを始めると、高校卒業後に渡米。多くの作品でスタントのほか、スタントコーディネーターも務めた。アメリカでの代表作としては、特撮テレビドラマ『パワーレンジャー』のアクション監督、監督、プロデューサーが挙げられる。2009年日本に帰国し、『仮面ライダー』『ウルトラマン』シリーズなどの監督を担当。世界を股にかける特撮の第一人者である。

 今回は坂本浩一監督に『妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク』の見どころを聞いた。

サメとニンジャに、80年代山田風太郎の要素を追加!!

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坂本監督(撮影:編集部)

――ニンジャが村を救い、サメと戦うというとてつもない内容の映画でした。こんな奇想天外なお話はどのように思いついたのですか?

坂本浩一監督(以下、坂本監督):最初は、プロデューサーの千葉さんに海外配信を視野に入れたニンジャ映画の相談があると呼び出されました。そこでのいきなりの発言が、「ニンジャとサメが戦う映画が見たい!」でした(笑)。

 今までもサメ映画を作りたかったようですが、CGなどの算段がつかずにいた所、昨年公開された自分の『文豪ストレイドッグス BEAST』に出てきたCGの白虎を見て、自分に声をかけてくれたようでした。その白虎のCGはインドネシアのチームが作っていたので、サメのCGが作れるかの承諾を得た後に、企画が本格的に動き始めました。

――そんな風に話が進んでいくんですね。

坂本監督:珍しいパターンですが(笑)。まず脚本に入る前に、物語の構成を固めようと思いました。ハリウッドのサメ映画は、バケーション先で事件に巻き込まれるパターンが多いですが、今作にはニンジャの要素も入れなければなりません。

 自分は1970年生まれで、東映さんや角川さんが作っていた時代劇をよく見ていて、特に山田風太郎原作の映画『魔界転生』や『伊賀忍法帖』などのおどろおどろしい妖術、忍術が出てくる世界観が大好きなんです。なので、今作にもその要素やオマージュが含まれています。

 サメを操る集団、それに対抗する抜け忍など、パズルを組み立てていきました。それらのアイデアを、脚本の足木淳一郎さんとキャッチボールしながら脚本を作っていったんです。

――制作の前提である海外配信というのは、今は主流なんでしょうか?

坂本監督:現在、日本国内の興行成績だけでリクープするには、厳しいことが多々あります。AmazonやNetflixなどの大手配信会社は、世界にマーケットを持っているので、潤沢な制作予算をかけることが出来ますが、大手以外の作品は、リスクが少なく、比較的低予算でも制作可能な恋愛ドラマなどが多くなる傾向かと思います。

 今作は、奇抜な日本映画ということで、サメ、ニンジャ、ゾンビ、妖術などをてんこ盛りにして、海外配給を狙っています。もちろん日本のサメ映画ファン、特撮ファン、ホラーやアクション映画ファンの方々にも喜んで頂けるように、細部まで工夫しています。

――サメの要素が珍しいですね。サメ映画は流行しているのでしょうか?

坂本監督:世界的にはジャンル物として流行っていますね。劇場公開される大きな作品もあれば、配信のみの低予算作品もあります。内容も奇抜な物が多く、竜巻に飲み込まれたサメが降り注いで人を襲ったり、頭が5つあったり、宇宙に行ったりと色々です(笑)。サメ映画は「どれだけ馬鹿なことやっているんだ?」というのを楽しみながら見るというジャンルを確立していると思います。

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©️2022 REMOW

――国産のサメ映画はあるんですか?

坂本監督:自分が認識している中では、モンスターパニック系のサメ映画はないかと。もしかしたら今作が日本初のサメ映画になるかもですね(笑)。

「自分なりに時代劇でのスプラッター描写を再現したかった」

――ニンジャも海外受けを狙ったんですか?

坂本監督:海外では忍者は根強い人気があります。日本のファンタジーヒーローとして、定期的にハリウッドでもニンジャ映画が作られていますよね。『NARUTO』も強い人気があります。サメとニンジャという2大人気コンテンツを組み合わせるのが狙いでした。

――時代劇というのは監督としてはどうですか?

坂本監督:時代劇はこれで3作目です。時代劇は、電柱や看板を映しちゃいけないし、衣装も全部用意しなければなりません。その準備は大変です。以前の2本は、正統派時代劇だったので京都の太秦で撮影しましたが、今回の撮影場所は関東近郊なので、違う作戦やアイデアを考えなければいけませんでした。ただ、そのプロセスは楽しかったですね(笑)。

――坂本監督が作品作りを楽しんでいるのが伝わってきます。今作はR-15指定ですが、表現方法に違いはありましたか?

坂本監督:70年代の時代劇の代表作、『子連れ狼』シリーズや『座頭市』シリーズでは、スプラッター描写が多用されていました。それらの作品からタランティーノ監督は影響を受けて『キル・ビル』を制作していましたね。そのようなスプラッター描写は『13日の金曜日』などのホラー系の作品に影響を与えていると思います。今作では、自分なりに70年代の時代劇でのスプラッター描写を取り入れたかったんです。

 R-15というレイティングに関しては、血飛沫などの派手な描写が好きな海外の観客や、日本のコアなファン層を狙う作戦です。プロデューサーからも「流血は遠慮せずにやってください」というリクエストがありました(笑)。妖術によるサメ口の特殊メイク、斬首のカットなど、今作では特殊効果が重要なパートを占めています。特殊効果のスタッフも「ここまでやるのは久しぶりだよ」と喜んでいました(笑)。

――スタッフさんも、やりがいがあって、いい仕事をしてくれそうですね。

坂本監督:R-15指定をあえて狙う作品は今の日本でなかなかな珍しいですからね(笑)。ホラーも心霊系が多く、スプラッターは少ないかと。血が飛び散る効果は、ロケ先が汚れないようにビニールでカバーしたりと手間もかかりますし。

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――そういう現場の作り方も後進の方に伝えたいですね。本編で撮影が大変で、見てもらいたいシーンはどこでしょうか?

坂本監督:撮影では、チャレンジはありましたけど、大変よりは楽しかった思い出の方が強いですね。この作品はジェットコースターのように、始まりから終わりまで、飽きずに一気に見てもらえるように作りました。

 その中でも、苦労して撮った海中シーンやサメの描写は、見どころの一つですね。あとはやはりキャストたちです。みんな頑張って挑んだアクションはぜひチェックしていただきたいですね!ハードな撮影が予測されたので、主役の平野くんを始め、特撮作品の出演経験のある体育会系のチームを揃えて撮影に挑みました。特撮作品を経験すると、砂利道で転がったり、見えない敵と戦ったりと、かなり鍛えられますからね。今作も彼らだからこそ乗り切れたと思います。

――体育会系キャストはいい仕事をしましたね。

坂本監督:自分がご一緒した方々を中心に、信頼しているキャスト陣に集まってもらいました。(長野)じゅりあちゃんは今作が初でしたが、空手や女子プロレスをやっているバリバリの体育会系で、女優としてのプロ意識もバッチリでした。

 (宮原)華音はもう何本も自分の作品に出てもらっているアクション女優さんです。今月はキックボクシングの試合も控え得ている格闘家でもあります。

 キャストみんなすごく仲良くなり、現場は終始明るく楽しかったです。

決められた時間と予算の中で、それ以上の結果を残すのがプロ

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坂本監督(撮影:編集部)

――坂本監督はスタントマンとして業界に入り、その後、監督やプロデューサーとなりました。スタントの経験は監督をするときにもいきていますか?

坂本監督:自分は16歳の時に、70年代から香港を中心に活躍しているアクション俳優&格闘家の倉田保昭先生に弟子入りして、スタントマンとしてこの業界に入りました。

 89年に日本を離れ、アメリカに渡り、そこで様々な格闘技を学びつつ、スタントマンとしても活動していました。その後、コーディネーター、監督、プロデューサーなど色々な経験を積み、2009年に日本でのお仕事のオファーをいただき、日本に来たんです。今は国籍もアメリカなので、ビザを延長しながら、日本に滞在しています。

 スタントや格闘技の経験は、アクションシーンを撮る時の武器になります。どの技をどう撮ればカッコよく見えるかの判断ができますし、キャストにアクションのイメージを伝える時に、自分で実演しながら教えられます。

 師匠の倉田保昭先生から「いくらアクション監督、監督という立場でも、お前たちがやって見せて説得力がないと、みんなついて来ないぞ」と、教えられました。自分はもう50歳過ぎですが、実行できるように頑張ってます(笑)。

――いえいえ、監督は鍛えてるので大丈夫ですよ。実際、アメリカと日本では制作現場に違いはありますか?

坂本監督:予算や規模感は、まったく違いますね。ハリウッド作品は組合、ユニオンに沿ったルールがあります。そのための予算を確保しなければなりませんし、スケールが大きい分、スケジュール感も違いますね。現場の各部所の仕事は、その持ち場の人たちがかならずやります。

 日本の現場は、みんな協力的です。たとえば、機材を動かすときもスタッフ総出でやりますが、アメリカでは、補償の問題があるので、撮影機材は撮影部しか触れません。いい意味でのプロフェッショナル化とシステムが出来上がっています。両方ともいいところ悪いところがあると思います。予算が潤沢であれば、それなりの解決策が見つかりますが、ない場合はアイデアでカバーします。予算とスケジュールが限られている場合は、その中でそれ以上の結果を残すのがプロだと思っています。

――まさにプロの言葉だと思います。トカナはオカルト、心霊、UFOなどを扱うサイトです。坂本監督はオカルトの経験はありますか?

坂本監督:経験はありませんが、金縛りだけはよくなりますね(笑)。疲れてるときに多いのですが、慣れてくると「金縛りが来る」とわかるんです。半分起きているような状態で、音がガーッと聞こえてきて突如ガクッと来ます。体を動かそうと思っても動かない。誰かがそばにいる気配がする時もありますね。疲れや精神的に追い込まれているのが原因なんでしょうか?(笑)

 やはり心霊現象は怖いですね。対処のしようがありませんし。逆に殺人鬼や異常者などはやっつければいいので怖くないです。そのために鍛えてるので(笑)。

 アメリカやヨーロッパは、ゾンビや吸血鬼など、実体を持ったモンスターの怪談話しが多いと思います。心霊的なものは、ポルターガイストやエクソシストのような悪魔祓いの儀式ですね。文化の違いなのか、西洋より、アジア圏の方が幽霊や心霊現象の話しが多い気がします。

――アメリカではニンジャはどんな扱いですか?

坂本監督:日本だと闇に隠れ、隠密任務をこなすイメージですが、海外だとニンジャはヒーローのイメージが強いです。今回の作品も海外配給を意識しているので、忍者の本質に触れながらも、見せ方としては血飛沫や忍術など、派手な効果を多用しています。

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――坂本監督の経歴はとても常人とは思えません。そのモチベーションはどこから来ているんでしょうか。

坂本監督:モチベーションは「作品作りを楽しむ」ですね!楽しいことをやってるのが一番幸せです。16歳のときに映像業界に入り、他の仕事に就いたことは1回もないんです。映画の話はいくらでもできますが、日常会話は苦手なんです。作品制作に関しては自信もあるし、知識もあります。でも、スポーツや政治、お笑いなどの話しは苦手なくらい偏りがすごいんです。

――純粋に映像制作のことだけを考えていたいんですね。もともとはジャッキー・チェンなどのアクションが好きだったんですか?

坂本監督:9歳のときに、ジャッキー・チェンの映画が日本で初めて公開されました。それを見てから「ジャッキー・チェンになりたい!」と、一筋です(笑)。

 スタントマンになったのも、監督になったのも、ジャッキー・チェンの影響です。ジャッキー・チェンがいなかったら、今の自分はいないと言えます。いまも追いつき追い越せで、自分にとっては神様のような存在です。

――アメリカで映画製作をしている時点でかなりジャッキー・チェンには近づいていると思います。そんな坂本監督の次回作はどうなっているのでしょうか?

坂本監督:現在放送中の『仮面ライダーギーツ』(テレビ朝日系列)を担当しています。また、ヒカリTV&Leminoで4月12日からアクションコメディドラマ『グッドモーニング、眠れる獅子2』が配信されます。近年、コロナ過のステイホームの影響で、配信用作品の需要が高まっています。自分にもオファーが増えていますね。できれば『ニンジャVSシャーク』もシリーズ化したいので、見ていただいて、みなさんからの反響を聞けると嬉しいです!

――劇場に来るファンの方にメッセージをお願いします。

坂本監督:突っ込みどころ満載な映画です。頭を空っぽにして、ワイワイガヤガヤ楽しんで見ていただけると嬉しいです。ジェットコースターに乗るつもりで来て下さい!

――ありがとうございました。

 アメリカに家族を残し、単身赴任でとてつもない本数のドラマ、映画を作り続ける男・坂本浩一。アクション、特撮の第一人者だが、「オファーがある限り、まだまだ作り続けます」と創作意欲はますます燃え盛っている。そんな坂本監督が作った日本初!?のサメ映画『妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク』は、とにかく話のテンポがよく、最後まで一気見してしまう作品だ。ぜひとも劇場で爽快感を味わってほしい。


『妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク』
2023年4月14日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、新宿シネマカリテ 他 全国ロードショー!

監督:坂本浩一
出演:平野宏周/西銘 駿/長野じゅりあ/宮原華音/中村優一 他
主題歌「滄溟の誓~Oath of Great Blue~」リオ・アスナブル
製作:REMOW ダブル・フィールド 制作協力:アウトサイド、yell/配給:エクストリーム
2022 年/日本/カラー/77 分/DCP/ビスタサイズ
©️2022 REMOW

坂本浩一(さかもと こういち)
映画監督、スタントマン、プロデューサー。1970年、東京生まれ。16歳でスタントマンデビュー。89年から渡米。ハリウッドでスタントマンとして活躍。特撮ドラマ『パワーレンジャー』では、アクション監督、監督、プロデューサーなどを務める。2009年に日本に一時帰国。『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』、『仮面ライダーW』などの作品を送り出した。

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文=松本祐貴

1977年、大阪府生まれ。フリー編集者&ライター。雑誌記者、出版社勤務を経て、雑誌、ムックなどに寄稿する。テーマは旅、サブカル、趣味系が多い。著書『泥酔夫婦世界一周』(オークラ出版)『DIY葬儀ハンドブック』(駒草出版)。新刊に編集として関わった『これからの時代を生き抜くための生物学入門』(辰巳出版)五箇公一著。
・ ブログ「~世界一周~ 旅の柄」 http://tabinogara.blogspot.jp/

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