友情の平均寿命は「10年」! その残酷な理由を社会学者が解説
アメリカでは、友情の平均寿命は10年だといわれている。とある社会学者は、その理由を「友情には”縁を切る”能力が重要だから」だと説明している。なぜなら、協力関係を育むためには、互いに関係性の継続を拒否する権利を持ち合わせていることが不可欠なのだという。
一方で、過剰な流動性や固定された環境下でも、われわれは適切な人間関係を築くことができない。よって、この”10年”という数字が関係を深めるのに最適な期間として割り出されたそうだ。
いつどこで誰と出会い、何がきっかけで関係が終焉を迎えるのか、想像することはできないが、健全な交友関係を結ぶために、ときには縁を切ったり切られるかもしれないという考えのもと、周囲との関係を見つめ直してみるのもいいだろう。
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※ こちらの記事は2019年4月10日の記事を再掲しています。
アメリカでは友情の平均継続年数は10年だという。恐らく日本人もこんなものではないだろうか。なぜ、われわれは親友と仲たがいしてしまうのだろうか? このたび、米イエール大学の社会学者ニコラス・クリスタキス博士がその理由を明らかにした。クリスタスキ博士によると、逆説的に聞こえるが、友情には“縁を切る”能力が重要だという。知的情報サイト「Big Think」(4月6日付)でクリスタキス博士は次のような例を用いて説明している。
「高校の先生に『あなたたち5人は一緒にグループワークしなさいと』言われたとします。そのなかの1人か2人は怠け者で協力しません。こういう人たちは“離反者”(defector)です。このとき、あなたには2つの選択肢があります。離反者の分も自分がやるか、あなたも離反者になるかです」
クリスタキス博士によると、このような状況では多くの人が離反者になることを選ぶという。つまり固定された人間関係では、あなたを食い物にする人物が現れた場合、あなたも相手と同じように自分の仕事や責務を放り出す場合が多い。そして、最終的には誰もが相手に対して意地悪な無法状態に陥るという。
しかし、「あなたは私を利用しているから、もう友だちでいたくない」と言える社会、つまり縁を切ることが可能である社会ならばどうだろう? クリスタキス博士によると、縁を切る能力は集団の協力関係を育むという。
ただし、縁を切る能力も過剰であってはいけない。過剰な“流動性”は協力関係を台無しにしてしまうからだ。もし毎日違う友人を作り、1日で友だちをやめるとしたらどうだろうか。これほど短期的な関係では相手に協力し、友情を育む理由が見当たらなくなってしまう。これは結婚の場合も同様だとクリスタキス博士は言う。
「もし離婚が不可能であり、配偶者が意地悪な人間だとしたら、あなたも相手に対して意地悪な人間になるしかありません。反対に毎日違う配偶者と結婚し離婚する状況でも、あなたは配偶者に対して良い人にはなれません。毎日配偶者が替わるわけですから、相手との関係なんて気にしないでしょう」(クリスタキス博士)
また別の例では、
「スターリン治世のソ連のように、あなたは住む場所を絶対に変えられず、近隣住民もずっと同じだとしましょう。そんな状況で近所の人がみんなアパートの廊下やホールにゴミを捨てたとしたら、どうしてあなたが掃除をしなければならないでしょう? あなたもゴミを捨てるのではないでしょうか。では反対に毎日お隣さんが替わるとします。翌日にはお隣さんはいなくなってしまうのに、どうしてあなたが歩道を掃除して、生垣を整えなければならないでしょう?」
こうした理由により、固定された関係でも超流動的な関係でもなく、その中間点が人間関係を育む最適な期間になるという。そのため友情の平均継続年数は10年ほどになるのだろう。
「親しき仲にも礼儀あり」は社会学的にも正しいことわざだったようだ。あなたの友人はあなたと“縁を切ることができる”ことを忘れないようにしたい。
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2024.10.02 20:00心霊友情の平均寿命は「10年」! その残酷な理由を社会学者が解説のページです。人間関係、社会学、心理学、社会、友情などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで