人類は“快楽”の絶頂で絶滅する! 全ての知的生命体を絶滅に追いやる過剰な幸福

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 日々行われている性行為のうちではたして何割くらいが生殖を目的にしているのだろうか。現実に少子化が進んでいるのに性行為は減っていないとすればその答えは明らかだが――。

人類の滅びの兆候はすでにあらわれている?

 こうして我々が存在している以上、広い宇宙のどこかに地球外文明が存在していると考えるのはきわめて自然なことであるが、これまで人類はその痕跡の手がかりすら見つけていない。

 この矛盾は「フェルミのパラドックス」と言われているが、その答えは我々の未来にあるのかもしれない。つまり我々のような知的な文明が滅びる定めにあるとすれば、“生前”に出会えなくともおかしくないのである。そして人類の滅びの兆候はすでにあらわれているという。

 先日「The Lancet」に掲載された人口統計学者の国際チームによる包括的な研究では、世界人口は40年以内にピークに達し、その後は継続的に減少するとの予測が報告されている。この減少は主に低出生率によって引き起こされ、今後も衰えることなく続くと予想されており、社会、経済、地政学に広範な影響を及ぼすという。

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 研究では2100年までしか予測されていないが、低出生率はその後も延々と続き、人類を緩やかな絶滅への道に導く可能性があるという。米メディア「Big Think」の記事でライターのダニエル・ウヴァノビッチ氏がこのシナリオの妥当性について検証している。そしてその鍵を握るのは感情修正技術である“Emode”であるという。

 まず少子化を理解するには、出産と感情的報酬の間には生物学的な関連性があるにもかかわらず、人類はそれらを分離するための独創的な方法を考案してきたことを再確認する必要がある。

 今や生殖を目的にした性行為のほうがマイナーであり、それは各種の避妊具や避妊薬、大人のオモチャなどを例に挙げても明らかだ。今の我々は現実と感情を切り離し、感情を優先させていることになる。

 あるいは愛犬家や愛猫家とそのペットの関係を見ても、飼い主のペットへの過剰な愛情はほぼ一方通行であり、我々がいかに感情を優先させているかがわかる良い例となっている。

 我々のこうした“特技”は、将来的に人工知能を搭載したロボットを愛してパートナーに選ぶ未来を予見させるものでもある。

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幸福なフェードアウトであり種としての安楽死

 これまでは“自力”で感情を優先させてきた我々だが、今後はテクノロジーによって感情を変えたりコントロールできる技術が進化してくるという。

「Emode」と呼ばれるこの感情修正デバイスは、望む感情をすぐに引き起こしてくれる技術である。

 すでに我々は愉快に笑いたい時にお笑いコンテンツを消費したりしているように、スリルを味わいたい時や泣きたい時などそれぞれのニーズを充足するに相応しいコンテンツをストリーミングサービスなどで大量にストックしている状態にある。

 もちろんその中には違法なものもあるが、気分を変えられる飲食物や化学物質などもすでに豊富に用意されている。

 Emode技術は常に進化しており、今後ますます豊富になり効力が高まること予想されるのだ。

 先進国では人々が選択できる娯楽、ライフスタイル、キャリアの選択肢は増え続けており、それらはすべて出産と子育てに必要な時間と労力とに競合している。

 そしてゲーム、SNS、アダルトサイト、ストリーミングサービス、AIチャットボットなど、多くの異なるモードを組み合わせることで、子供を必要とせずに感情的に満足できるライフスタイルを実現できるのだ。つまり感情的な幸福と快楽の追求行為が、皮肉にも少子化に繋がっているともいえるのである。

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 さらにその影響は人類を超えて広がる可能性があり、フェルミのパラドックス、つまり我々の惑星以外には知的生命体が存在しないことの説得力のある答えが得られる可能性があるのだ。

 知的生命体として進化を続け、多くの幸福が得られる段階になれば自然に個体数は減少を続け、最終的には種として絶滅する運命から逃れられないのかもしれない。つまり幸福なフェードアウトであり、種としての安楽死である。

 このように知的種族とは実にはかない運命にあり、そう考えれば2つの異なる惑星の文明がお互いの“生前”期間中に出会って交流することなどまさに奇跡であり、ほぼ完全にあり得ないことなのかもしれない。

 植物や微生物とは異なり、知的生命体の誕生が進化の最終形態であり、“終わりの始まり”として考えてみるのも確かに興味深い。人類の宇宙開発が無駄な努力であったのかどうか、早ければ40年後には答えが出てくることになりそうだが、その時我々は幸せと快楽の絶頂期にあるのだろうか。

参考:「Big Think」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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