地球には何人まで住むことができる? 「最大収容人数」を算出

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 世界人口の“人口爆発”はいったんは鈍化しているように見えるが、そもそもこの地球はいったい何人の人間を養うことができるのだろうか。専門家によれば幸いなことにまだ地球の“最大定員数”に余裕はあるということだが、それでも我々の生活スタイルが大きな鍵を握っているという。

■地球の“最大収容人数”は134億人か

 国連が今年7月11日に発表したレポートによると、世界人口は2022年11月15日に80億人に達し、2023年にはインドが中国を抜いて世界で最も人口が多い国になると予測している。

 現在の世界人口は1950年以降最も低い増加率で推移し、2020年からは1%を下回っている。世界人口は2030年に約85億人、2050年には97億人に増える見込みで、2080年代中に約104億人でピークに達し、2100年までそのレベルに留まると予測されている。そして2100年以降は僅かずつ人口が減少しはじめるという。

地球には何人まで住むことができる? 「最大収容人数」を算出の画像1
「United Nations」より

 それにしても我々人類は「産めよ増やせよ地に満ちよ」とばかりによくもここまで増えたものである。そして人類の歴史から見ればこの“人口爆発”はここ最近の現象であったのだ。

 約30万年前、ホモサピエンスが最初に出現した時期、総人口はせいぜい100人から1万人の間であった考えられるという。米ニューヨークのロックフェラー大学とコロンビア大学の人口研究所の責任者であるジョエル・E・コーエン氏によると、初期の人類はきわめて少数だったため、人口が2倍になるまでに約3万5000年かかったということだ。

 1万5000年~1万年年前に農業が発明された後、地球上の総人口が100万人から1000万人のレベルであった時期には人口が2倍になるのに1500年かかっていた。しかし16世紀までに人口が2倍になるのに必要な時間は300年に短縮され、さらに19世紀になるまでには人口が倍増するのにわずか130年しかかからないようになったのだ。

 そして1930年から1974年にかけてのわずか44年間で地球人口が2倍になる“人口爆発”を記録した。幸いにも“人口爆発”は今では鈍化しているが、そもそもこの地球には何人の人間が住めるのだろうか。

 「微生物学の父」であり顕微鏡の発明者であるアントニ・ファン・レーウェンフックは1679年、地球が134億人を養えると予測した。彼は40年以上にわたる研究で地球の居住可能な土地の1万3400分の1をオランダが占めていると計算し、オランダの人口100万人に1万3400を掛けてこの数字を算出したのだ。

 その後も多くの研究者が地球の“最大収容人数”を計算しているが、19世紀には科学者が“最大収容人数”の概念を生態学に適用して、特定の生息地がサポートできる種の最大個体数を計算するようになった。生息地内で出生率と死亡率が同じであれば、当然ながら人口は安定する。

 しかし環境汚染や病気などの環境変化は、生息地が収容できる“最大収容人数”を増減させる可能性がある。

 コーエン氏は「収容力は自然の制約と人間の選択の両方に依存します」と語り、たとえば自然の制約には食糧不足や過酷な環境が含まれ、人間の選択には、出生率、平均寿命、移動、商品の生産と消費の仕方など、経済と文化の間の相互作用が含まれる。つまり我々が選択する生活スタイルによっても、その地域の“最大収容人数”は変わるのである。

地球には何人まで住むことができる? 「最大収容人数」を算出の画像2
「Live Science」の記事より

■人口が増えるも減るも我々の生き方の問題

 “人口爆発”の主な要因であった世界中の多くの低所得国では、出生率が高く、家族の規模が大きいだけでなく、乳児死亡率が高く、寿命が短くなる傾向がみられる。

 しかし国連人口部門のパトリック・ガーランド氏は、社会経済的・文化的発展の特定の段階に達すると、夫婦あたりの子どもの数は2人以下に収束する傾向が見られると説明している。社会の発展により人口は自然に安定し、さらに微減しはじめるというのである。

 実際に世界の人口増加率は1960年代にピークを迎え、それ以降は減速している。国連人口部によると、1950年の平均出生率は女性1人あたり5.05人であったが、2020年には女性1人あたりの子ども数は2.44人に減少しているのだ。

 したがって世界人口は今世紀後半のある時点でピークに達することは現在の科学的コンセンサスであり、国連はそれが2080年代にくることをを予測したのである。

地球には何人まで住むことができる? 「最大収容人数」を算出の画像3
画像は「Unsplash」より

 しかし人口統計学だけでは予測できない面も多いことをガーランド氏は指摘している。

「(地球の)収容力に関して言えば、それは生産様式、消費様式の問題であり、誰が何にどのようにアクセスできるかの問題です」(ガーランド氏)

 たとえば2018年に「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された研究では、アメリカ人がベジタリアンの食事に切り替えた場合、現在のアメリカの人口に3億5000万人を追加できることが報告されている。

 またオックスフォード大学のマックス・ローザー氏によると、女性が教育や家族計画へのアクセスを増やしている高所得国は、中所得国や低所得国よりも出生率が低く、家族の規模が小さい傾向があることを指摘している。つまり今日の状況では、人口が増えるも減るも我々の生き方の問題ということになる。

 地球が養える“最大収容人数”には当然物理的に上限があるが、その数字が正確であるかどうかは一概にはいえないことになる。それは我々が資源をどのように生産、消費、管理するかによって異なってくるからだ。持続可能な社会の実現のための取り組みが今後も我々1人1人に求められていることは間違いない。

参考:「Live Science」ほか

編集部

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