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『イルミナティカード』は新世界秩序への計画を暴露しているのか

2024.07.30 11:30 文＝青山蒼

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　イルミナティは何十年にもわたり陰謀論の中心となってきた。この秘密結社とされる団体は、世界支配を目指して革命、暗殺、テロを起こし、社会の信念を変えることで新世界秩序（NWO）を築こうとしているとされる。この新世界秩序はアンチクライストの支配とも言われるが果たして……。

スティーブ・ジャクソンのゲーム「イルミナティ（Illuminati）」

　イルミナティが新世界秩序を押し付ける計画を持っているという前提のもと、1982年にゲームデザイナーのスティーブ・ジャクソンは「イルミナティ: 陰謀のゲーム」を作成した。これは、歴史を操作し、偽旗作戦を行い、暗殺を実行し、メディアを操作して世界を支配しようとする秘密結社の争いを描いた風刺的なボードゲームである。

　ジャクソンは、このゲームのストーリーをロバート・シェイとロバート・アントン・ウィルソンの三部作「The Illuminatus! Trilogy」から着想を得て作成した。この小説は、サイエンスフィクションと冒険を組み合わせた陰謀論的なスリラーであり、社会風刺を盛り込み、セックス、ドラッグ、魔法、そして多くの陰謀が描かれている。

　このゲームは成功を収め、1983年にオリジンズ賞のベストSFボードゲーム賞を受賞した。続いて新しい拡張版が登場し、特に1995年の「イルミナティ: Y2K」は、実際に起こる出来事を予言しているかのようなカードのイラストで陰謀論者たちの注目を集めた。

陰謀論者たちの関心

　ゲームは、2001年の9.11同時多発テロと「予想外」に関連付けられた。ゲームのカード「テロリスト・ヌーク」と「ペンタゴン」がテロリストの標的を予言しているかのように見えたからである。これにより、ジャクソンが未来を知っていたのではないか、あるいはイルミナティの現代の計画を反映しているのではないかという疑問が生じた。

　この感覚は、アメリカ政府がこのゲームの販売を阻止しようとし、FBIがテキサス州オースティンにあるスティーブ・ジャクソン・ゲームズの本社を捜索したときにさらに強まった。後に判明した捜査の理由は、2001年のワールドトレードセンターへの航空機衝突とは無関係であったが、多くの人々はジャクソンが機密情報を持っていると信じた。

　イルミナティの実在は、啓蒙思想に基づき、バイエルンの本物のイルミナティが政治決定に影響を与え、王政や教会を変えようとした事実にある。しかし、1785年にバイエルン公がこの秘密結社を国家と教会への脅威と見なして禁止したことで、イルミナティは消滅した。

イルミナティの遺産とゲームの予言

　イルミナティのメンバーの一部はフリーメイソンに加入し、新しいメンバーを募集し続けた。そのため、イルミナティの理想は消滅せず、19世紀の風刺や意図的な嘘、例えば1871年8月に准将アルバート・パイクがフリーメイソン仲間のジュゼッペ・マッツィーニに送ったとされる「三度の世界大戦」を予言する手紙などにより、イルミナティが依然として世界支配を目指しているという考えが広まった。ゲームにも、まだ起こっていない「第三次世界大戦」に関するカードが含まれている。

　ゲーム内では、イルミナティが戦争や疫病を引き起こす内容や、地底世界や爬虫類型エイリアンについても言及される。ジャクソンはこれらの理論を風刺的に扱おうとしたが、その「ゲーム」がいくつかの出来事を予見していることは否定できない。ジャクソンは、「陰謀論の本を読んで、残りは自分で作った」と明言している。

実際の出来事とゲームの関係

　ジャクソンが陰謀を風刺しようとしたにもかかわらず、ゲームは多くの実在の陰謀論者たちの関心を引きつけた。例えば、2010年4月22日に起きた史上最大の原油流出事故「ディープウォーター・ホライゾン」の爆発は、ゲームのカード「オイルスピル」に描かれた出来事に酷似している。その他、2011年3月11日の日本の地震に関するカードもあり、東京・銀座の和光時計台に似た塔が描かれ、その時計は11時11分を指している。

陰謀論の一つに、人口削減の理論がある。技術の進歩、人工知能、再生可能なロボティクスの発展により、多くの労働力が不要になり、人口削減の必要性が叫ばれている。この考えは、最近のコロナパンデミックが人口削減を目的として設計されたという否定論の背景にもなっている。これらの概念もイルミナティのカードで予見されている。

　最後に、ボストンマラソンの爆弾テロやドナルド・トランプ暗殺未遂事件など、ゲーム内のカードに描かれた出来事が現実に起きていることもあり、多くの陰謀論者たちがこのゲームに注目している。

参考：Espacio Misterio