父親を殺した犯人を捕まえるために警察官になった女性、25年の時を経て父の仇を討つ

2024.10.12 18:00 編集部

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1999年、父の命を奪った男

　1999年2月16日、ジヴァルド・ジョゼ・ヴィセンテ・デ・デウスさんは、ブラジルのボア・ヴィスタにあるバーで口論の末、射殺された。

　相手はライムンド・アウベス・ゴメスという男で、ジヴァルドさんがゴメスに150レアル（1999年当時のレートで約29ドル）の借金があったことが原因だった。ゴメスは一度バーを出て、数分後に銃を持って戻ってくると、5人の子供を持つジヴァルドさんの頭を至近距離から撃った。

　逮捕状が出されたもののゴメスは逃走し、逮捕されることはなかった。

　しかし、ジヴァルドさんの家族は、ゴメスを裁きにかけることを諦めなかった。事件当時9歳だった長女のジスレイニさんは、ゴメスを捕まえることに人生を捧げたのだ。

「ゴメスは、5人の子供を抱えた家族を壊し、母親は私たちを育てるために懸命に働かなければなりませんでした。この事件は私たちを別の道に導く可能性もありましたが、母親はいつも正しい道を歩むように教えてくれました」ジスレイニさんは、ブラジルのニュースサイトNova1にそう語っている。

父の言葉を胸に、警察官の道へ

　5人兄弟の長女として、ジスレイニさんは母親を手伝って弟妹の世話や家事をしなければならなかったが、学業をおろそかにすることはなかった。父親はいつも彼女に一生懸命勉強するように励まし、宿題を手伝ってくれていた。彼女は父親を失望させたくないと、懸命に勉強し、いつか父の仇を討って家族に安らぎをもたらすことを夢見ていた。

　18歳で高校を卒業後、ジスレイニさんはロースクールに入学し、7年後には弁護士の資格を取得した。しかし、2022年、彼女は弁護士のキャリアを捨て、警察官になることを決意した。そして2年後、2024年7月19日、彼女は試験に合格し、州警察の捜査官に正式に任命された。ジスレイニさんはすぐに殺人課への配属を希望し、ライムンド・アウベス・ゴメスを追跡する機会を得たのだ。

25年の時を経て、逮捕へ

　2013年、ゴメスはジヴァルドさんを殺害した罪で懲役12年の判決を受けた。しかし、ゴメスは事件後逃亡していたため、判決は執行されていなかった。ゴメスの弁護士は2014年と2015年に控訴したが、いずれも高等裁判所によって棄却された。ゴメスの最新の逮捕状は2019年に発行されており、時効は2031年である。つまり、ジスレイニさんがゴメスさんを早く見つけることができれば、それだけ長く刑務所に入れることができるのだ。

　そして警察官になってわずか2ヶ月後の9月25日、ジスレイニさんは、25年という長い年月を経て、父の仇を討つという夢を実現させた。彼女はチームと共に、ボア・ヴィスタ近郊のノヴァ・シダーデ地区にある農場に隠れていたゴメスを発見し、逮捕した。

「警察署で彼を見たとき、私は自分が誰であるか、そして逮捕状を執行したのは自分であることを伝えました。家族に知らせると、みんなが大きな安らぎと正義を感じました。長い間待ち続け、信じられない思いでしたが、ついにこの瞬間を迎えることができました。長い間、肩の荷が下りたような気がして、安堵の涙を流しました」ジスレイニさんはそう語っている。

ジスレイニさんの物語と、父親を敬い、家族に平和をもたらすための彼女の献身は、ニュースで報じられて以来、ブラジルだけでなく南米中の何百万人もの人々の心を打った。

娘として、そして警察官として、ジスレイニさんは見事に父の仇を討った。彼女の執念と勇気は、多くの人々に希望と感動を与えるだろう。