マンハッタンで宇宙人が主婦を誘拐?ネトフリで番組化された『リンダ・ナポリターノ事件』の真相とは

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 1989年11月30日、リンダ・ナポリターノ氏はマンハッタンのアパートから宇宙人に誘拐され、宇宙船に連れ去られたと主張した。彼女の主張は23人の目撃者によって裏付けられたとされているが、熱心な宇宙人信奉者でさえ懐疑的な見方をしている。果たして彼女の体験は真実なのか、それとも作り話なのか?

青い光線と宇宙船での検査

 ナポリターノ氏によると、彼女は夫と2人の子供と暮らす普通の主婦だった。しかし、1989年11月30日の午前3時頃、彼女は寝室で異変を感じた。目を開けると、灰色の小さな生物が彼女を見つめていたという。彼女は体が麻痺し、青い光線によって12階のアパートから窓の外へ、そして楕円形の宇宙船へと運ばれたと主張する。船内ではテーブルに寝かされ、金属製の器具を鼻に挿入される検査を受けたという。その後、彼女は何もなかったかのようにベッドで目を覚ました。

 当初は夢だと思っていたナポリターノ氏だが、後に鼻に異物感を感じ、医師の診察を受けた。レントゲン写真には鼻腔内に何かが写っていたとされるが、専門医の診察時には既に異物はなく、何かが詰まっていた痕跡だけが残っていたという。不可解な出来事に彼女は困惑した。

UFO研究家、事件を公表―23人の目撃証言

 ナポリターノ氏は、長年宇宙現象を研究してきた芸術家でUFO研究家のバッド・ホプキンス氏に相談した。ホプキンス氏は1996年に彼女の体験を「Witnessed(目撃)」というタイトルで出版し、事件は広く知られることとなった。

 ホプキンス氏によると、ナポリターノ氏の誘拐は23人もの目撃者によって確認されているという。中には国連事務総長ハビエル・ペレス・デ・クエヤル氏ではないかと噂される政府高官も含まれていた。目撃者のほとんどは匿名だったが、警備員の「リチャードとダン」はホプキンス氏に手紙を送り、ナポリターノ氏がアパートの窓からUFOに吸い込まれる様子を目撃したと証言した。彼らは後にナポリターノ氏と面会し、まるで旧知の仲のように語り合ったという。

警備員のストーキングと誘拐

 しかし、その後事態は思わぬ方向へ展開する。ダンはナポリターノ氏をストーキングし始め、1991年4月には彼女を誘拐して尋問した。彼はナポリターノ氏が宇宙人について何かを隠していると疑っていたようだ。さらに10月には再び彼女を誘拐し、ロングアイランドのビーチハウスに連れ込んだ。ダンは彼女に誘拐当夜と同じ白いナイトガウンを着るように強要し、拒否されると暴力的になったという。ナポリターノ氏はなんとか逃げ出したが、その後もダンから手紙が届き、彼女への愛と誘拐の妄想を告白されたという。この時期、彼女は黒いスーツの男たちに尾行され、身の危険を感じていた。

真偽をめぐる議論

 ホプキンス氏には他にも目撃情報が寄せられ、それらはナポリターノ氏の証言と一致していた。一部の宇宙人愛好家は、多数の目撃者がいることが事件の真実性を証明すると考えている。しかし、批評家たちは、ほとんどの目撃者が身元を明かさず、インタビューにも応じていない点を指摘している。ホプキンス氏自身も「リチャードとダン」に会ったことがないと認めている。確固たる証拠がないため、熱心なUFO信奉者でさえ、ナポリターノ氏の話をでっち上げだと考えている者もいる。

リンダ・ナポリターノ氏 画像は「All That’s Interesting」より

事件のその後とNetflixドキュメンタリー

 ナポリターノ氏は長年にわたり、周囲から「狂っている」と非難されながらも、自分の体験を語り続けてきた。事件は目撃者、特にダンに深刻な心理的影響を与えたとされている。ダンは精神病院に入院するほど精神状態が悪化したという。また、警備対象だった外交官も事件の影響で政治的優先順位を変えたとされている。彼はホプキンス氏に手紙を書き、地球環境保護の重要性を訴え、地球外生命体の計画を妨害しないように調査を止めるよう懇願したという。

 ナポリターノ氏自身は、自分の誘拐は世界の指導者たちの注意を喚起し、地球環境の持続可能性に焦点を当てた政策へと導くためだったのではないかと推測している。ホプキンス氏も、ナポリターノ氏、ダン、そして外交官は宇宙的なつながりがあり、外交官が地球を保護する方向へ進むよう仕向ける役割を担っていたのではないかと推測した。

 ホプキンス氏は2011年に亡くなり、事件の調査は一時中断された。しかし、Netflixは「マンハッタン宇宙人拉致事件(Manhattan Alien Abduction)」というタイトルで、この事件に関する新しいドキュメンタリーを制作した。2024年10月30日より配信が開始された番組ではナポリターノ氏への新たなインタビューを交え、1989年のあの寒い11月の夜に何が起こったのかを解明しようと試みる。なお、ナポリターノ氏とホプキンス氏の遺族はこの作品に対し、自身の名誉を棄損し、20年以上前に出版した作家の著作を盗用したと訴えている。

 ナポリターノ氏の誘拐は真実なのか、作り話なのか。どちらにせよ、マンハッタンの摩天楼の上を、白いナイトガウンを翻して空に吸い込まれていく主婦の姿を想像するのも悪くはないかもしれない。

参考:All That’s Interesting

TOCANA編集部

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