太陽極大期より危険…?太陽の“バトルゾーン”が近づいていると専門家が警告

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 太陽活動は、黒点の数がピークを迎える太陽極大期を過ぎても活発な状態が続く、あるいはさらに激しくなる可能性がある。専門家は、太陽活動の新たな局面である「バトルゾーン(battle zone)」と呼ばれる時期に突入すると警告を発している。この期間には、太陽に巨大なコロナホールが出現し、地球を周回する人工衛星、特に近年急増している衛星群に壊滅的な影響を与える可能性があるという。

太陽活動の周期と「バトルゾーン」

 太陽は約11年の周期で活動が変化する。黒点の数が増加し、強力な太陽フレアが発生する太陽極大期には、地球にも磁気嵐などの影響が及ぶ。その後、太陽活動は徐々に減少し、太陽極小期を経て次の周期が始まる。

 近年、太陽活動は活発化しており、太陽極大期が早く、そして激しいものになると予想されていた。先月、専門家は太陽極大期に突入したことを確認し、約1年以上続くと発表した。しかし、宇宙天気予報会社Lynker Spaceは、太陽極大期終了後の来年か再来年に、「バトルゾーン」が始まると発表した。

 太陽には、11年の黒点周期に加え、22年の「ヘール周期(ヘールの法則)」がある。これは太陽の磁場が反転し、再び戻るのにかかる時間だ。ヘール周期の間、ヘール周期帯と呼ばれる巨大な磁気バンドが太陽の極に出現し、赤道に向かって移動する。新たなバンドは太陽極大期に両半球に出現し、次の周期の終わりまで続く。バンドは赤道で消滅する。

 黒点周期の前半には、各半球にヘール周期帯は1つだが、後半には2つになる。この重なりが黒点周期を支配する。1つのバンドしかない場合は磁場の不均衡が生じ、赤道付近で黒点が増加する。2つ目のバンドは不均衡を減らし、黒点形成を抑制する。

「バトルゾーン」とは、2つのヘール周期帯が各半球で優位性を争う期間のこと。黒点極大期後、地磁気活動が活発になるため、この用語が使われる。

画像は「Live Science」より

人工衛星への脅威

 バトルゾーンは太陽極大期よりも危険な可能性がある。第一に、太陽極大期後も太陽フレアは発生し続け、地球は多くの太陽嵐に見舞われる。第二に、ヘール周期帯間の磁気の綱引きでコロナホールが形成される。コロナホールは太陽風の激しい突風を作り出すため危険だ。コロナホールから放出された太陽粒子は、太陽嵐の粒子とともに地球の上層大気に吸収され、磁気圏への衝撃が増強される。

 地球上の人間への脅威は少ないが、人工衛星にとっては危険な期間となる。地磁気活動の増加は上層大気の膨張を引き起こし、軌道上の宇宙船の抵抗が増加、地球に落下する可能性がある。これは現在の太陽極大期ですでに発生している。

 スターリンクなど、記録的な数の衛星が打ち上げられている昨今、衛星故障のリスクは高まっている。地球低軌道上の物体は約1万個と、かつてないほど多い。バトルゾーンの影響は未知数であり、今後の動向が注目される。

参考:Live Science、ほか

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文=深森慎太郎

人体の神秘や宇宙の謎が好きなライター。未知の領域に踏み込むことで、日常の枠を超えた視点を提供することを目指す。

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