呪文を唱えると軽くなる謎の石「シバプールの浮遊石」! 90キロの重さがゼロに?一体なぜ…

 インドにある“シバプールの浮遊石”が話題だ。重さ90キロほどあるこの大きな丸い石は、ある呪文を唱えると11人の男の人差し指だけで持ち上がるというのだ。

■奇跡の石“シバプールの浮遊石”とは? 

 インド・ムンバイから東に180キロの位置にシバプールという小さな村があるのだが、この村にあるイスラム寺院に連日、多くの観光客や信者が詰めかけているという。呼び物になっているのはこの寺にある奇跡の石、“シバプールの浮遊石”だ。

 この寺はおよそ700年前に実在したイスラム教スーフィー派の聖者、カマル・アリ・ダルヴィーシュを奉る寺である。この寺にある“シバプールの浮遊石”は重さ90キロの丸みを帯びた大きな石で、聖者の呪いがかけられているという。

 力自慢の者なら1人でこの石を抱え上げられるかもしれないが、この石に呪いをかけた「カマル・アリ・ダルヴィーシュ」の名を叫ぶと、11本の人差し指だけで頭上まで簡単に持ち上がるというのだ。指にはほとんど力を入れなくてもいいという。

呪文を唱えると軽くなる謎の石「シバプールの浮遊石」! 90キロの重さがゼロに?一体なぜ…の画像1
Oddity Central」の記事より

 本当にそんな石があるのかと自分で確かめてみようと考える者は多いようで、この田舎の町が意外なまでに人々を引き寄せているのである。

“シバプールの浮遊石”の持ち上げ方は厳格に決められていて、まず必ず11人の男性が揃わなければならない。そして持ち上げる前に全員で聖者の名前を叫び、1人につき右手の人差し指1本だけを石の底の部分につけ、そしてみんなでタイミングを合わせて持ち上げるのである。

“シバプールの浮遊石” 動画は「YouTube」より

 聖者のカマル・アリ・ダルヴィーシュは独身主義を貫き通したことから、この石は女性が触ることはできないという。したがって女性はこの“アクティビティ”に参加することはできない。

 何か仕掛けがあるのではないかと疑問視する声も少なくないというが、石が持ち上がる様子をとらえたYouTube動画がいくつか投稿されていて、それらを見ると確かに石は高く持ち上がっている。はたしてこれは“奇跡”なのだろうか。

■聖者カマル・アリ・ダルヴィーシュの呪い

 カマル・アリ・ダルヴィーシュは中流階級の家庭で生まれたが、6歳の頃から近所にいるスーフィーの師から教えを受け、ほとんどの時間を瞑想と断食に費やしていたという。そして病を治すヒーリングパワーを身につけ、多くの信者が彼の力を頼りにやって来たということだ。

 聖者だからといって特別に長生きしたわけではないようだが、彼は死の前にスピリチュアルパワーが筋力よりも優れていることを証明するために、近所の男が身体を鍛えるために使っていたこの大きな石に呪いをかけたのである。そして周りの信者たちに、自分の死後、墓の近くにこの石を安置するようにと言い伝え、そして次のような話をしたという。

「もし11人の男が右の人差し指を石の下に挿し入れ、私の名前を全員で呼んだら、私は石を頭上より高く上げるでしょう。名前を呼ばなければ彼らが束になっても石を地面から2フィート以上動かすことができません」

 この言い伝えはその後も正確に継がれ、700年を経た今もなおこうして“奇跡”が繰り返されていることになる。

呪文を唱えると軽くなる謎の石「シバプールの浮遊石」! 90キロの重さがゼロに?一体なぜ…の画像2
画像は「YouTube」より

 以来多くの信者や観光客がこの“シバプールの浮遊石”を持ち上げて“奇跡”を体験しているのだが、オルタナティブ系ニュースメディアの「Oddity Central」の記事では、実際にこの“奇跡”を1984年に体験したウィリアム・ウォルフ氏のクレームを紹介している。彼は11人の男たちの1人としてこの石を持ち上げたのだが、男たちの中の何人かの怪力の持ち主が手のひらで石を持ち上げていたというのだ。

「私は11人の1人でしたが、難しくて聖者の名前を発音することができず、実のところ何も言いませんでした。つまりこの時、実際は10人の声しかなかったのです。私は右の人差し指で石を軽く触り石を持ち上げましたが、注意深くほかの10人を観察したところ、手のひら全体を石の下に入れ、かなりの力を加えている者がいたのです。私は彼の上腕二頭筋が盛り上がりヒジが曲がっているのを確認しました。急に石が持ち上げられたので、私はほんのわずかな瞬間しか石に触れていませんでした。これは浮遊ではなくウエイトリフティングです」(ウィリアム・ウォルフ氏)

呪文を唱えると軽くなる謎の石「シバプールの浮遊石」! 90キロの重さがゼロに?一体なぜ…の画像3
画像は「YouTube」より

 石を中心に11人の男たちで円陣を組むと、外からは中で何が行われているのかはわかりにくいだろう。とすれば男たちの中に1怪力の“サクラ”が含まれているのかもしれない。この謎の解明のためには、やはり現地へ行って実際に参加して確かめるしかないのだろうか……。

参考:「Oddity Central」ほか

 

※当記事は2018年の記事を再編集して掲載しています。

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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