“ドーピング”の新たな手法に科学者が警告!見破ることが極めて困難な「ミトコンドリア移植」とは?

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 スポーツ界では長年にわたりドーピング問題が取り沙汰されてきた。しかし、現在、アスリートの持久力とスピードを向上させる新たな手法が注目されている。しかも、この手法は従来の検査では発覚しない可能性があるという――。

ミトコンドリア移植が競技力向上に

 この新たな手法は「ミトコンドリア移植」と呼ばれ、本来は心疾患を持つ乳児の治療法として使用されている。しかし、最近ではスポーツ選手の間で関心が高まっているとされ、すでに競技力向上のために利用されている可能性も指摘されている。

 ミトコンドリアは細胞のエネルギー生産を担う「細胞の発電所」とも称される器官である。科学者たちは、ある筋肉細胞のミトコンドリアを別の筋肉に移植することで、エネルギー生産量が飛躍的に増加し、持久力やパワーが向上することを示している。

 2020年に行われたマウスの実験では、高齢のマウスに若いマウスのミトコンドリアを注入することで、ランニングの持続時間と速度が50%向上した。この結果は、スポーツ選手にとって極めて魅力的な手法であることを示唆している。

見破ることが不可能な新たなドーピング

 専門家が最も懸念しているのは、この手法が比較的容易に実施でき、しかも検出が極めて困難である点だ。

 現在、心疾患のある乳児に対するミトコンドリア移植のプロセスは、体内の組織からミトコンドリアを取り出し、精製した後、損傷した組織へ注入するという手順で行われる。ボストン小児病院のジェームズ・マカリー教授(外科)は、「すでにこの手法を試している人がいると考えている」と述べる。

「この件に関する問い合わせの電話が絶えない」と、ボストンで開催された米国科学振興協会(AAAS)の会議で語った。「プロセスは簡単で、手順も私たちのウェブサイトに公開されている。持久力を必要とする競技では特に有効だろう。すでに使われているとしても驚かない」と指摘した。

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世界アンチ・ドーピング機関が対応を検討

 スポーツにおける公正性を担保する世界アンチ・ドーピング機関(WADA)の専門委員会は、今月、ミトコンドリア移植の是非について初めて議論を行う予定だ。

 これまでにも、筋力や持久力、回復力を向上させるために、ステロイドやホルモンなどを利用したドーピングが問題視されてきた。特に有名なケースでは、ツール・ド・フランスで7連覇を果たしたランス・アームストロングが、血液ドーピングやステロイド使用によってタイトルを剥奪された。また、ロシアの選手も組織的ドーピングにより50以上のオリンピックメダルを剥奪されている。

 日本でも時折話題にのぼるドーピング問題だが、これまでのドーピングと違い、ミトコンドリア移植は同様の効果を持ちながらも、比較的簡単な設備と知識で実施できる可能性がある。これがスポーツ界に新たな問題をもたらすのは間違いないだろう。

参考:Daily Mail Online、ほか

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