ミャンマー大地震、死者1万人以上か… 活断層と浅い震源が被害拡大、専門家は「最悪の事態まだ」と警鐘

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 ミャンマー中部をマグニチュード7.7の巨大地震が襲い、隣国タイを含む広範囲に甚大な被害をもたらしている。ミャンマー第2の都市マンダレー近郊を震源とするこの揺れにより、数千、あるいはそれ以上の人命が失われた恐れがある。アメリカ地質調査所(USGS)は、死者数が1万人から10万人に達する可能性があるとの初期予測を示しており、被害の深刻さを物語っている。

 この破壊的な地震の背景には、ミャンマーの国土を南北に貫く巨大な活断層「ザガイン断層」の存在がある。そして、最初の揺れからわずか12分後にはマグニチュード6.4の強い余震が発生。専門家たちは、これで終わりではなく、さらなる揺れと被害拡大の可能性に警鐘を鳴らしている。

国土を貫く断層と「浅すぎた」震源

 ザガイン断層は、インドプレートとスンダプレートという二つの巨大な岩盤が接する境界で、全長約1200kmにも及ぶ。ここではプレート同士が年間約49mmの速さで水平方向にずれ動いている。「横ずれ断層」と呼ばれるタイプだ。普段、プレート同士は引っかかり合って(専門用語で「固着」)、動こうとする巨大なエネルギーを溜め込んでいる。そして、そのエネルギーが限界に達したとき、一気にずれ動くことで、今回のような激しい地震が発生するのである。

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画像は「Daily Mail Online」より

 今回の地震が特に破壊的だった理由の一つは、その震源の浅さにある。USGSによれば、震源の深さはわずか約10km。地震は震源が浅ければ浅いほど、そのエネルギーが地表に伝わりやすく、建物などに与えるダメージが格段に大きくなる。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのビル・マクガイア名誉教授は、「これほど浅い震源でこの規模の地震となれば、被害は最大化されるだろう」と指摘する。実際、マンダレーでは旧王宮の一部を含む多くの建物が損壊し、タイの首都バンコクでも建設中の高層ビルが崩落するなどの被害が報告されている。

警告されていた「巨大地震リスク」と終わらない余震の脅威

 実は科学者たちは以前から、このザガイン断層、特に中央部における巨大地震のリスクについて警告を発していた。昨年には中国の研究チームが断層の中央部分が異常なほど強く固着しており、通常よりも多くのエネルギーが蓄積されていることを発見。「将来的に大地震が発生しやすい状態にある」とし、特にマンダレーのような人口密集地への脅威を指摘していたのだ。今回の地震は、その懸念が現実のものとなった形と言える。

 さらに深刻なのは、今後も続くであろう「余震」の存在だ。最初の大きな揺れ(本震)によって地盤の状態が変化し、周辺の別の場所で新たな破壊が起こり、余震が発生する。すでにM6.4の大きな余震が観測されているが、マクガイア教授は「今後もさらなる余震が予想される」と語る。震源が浅い地震は、特に多くの余震を引き起こす傾向があるという。

 これらの余震は、本震でダメージを受けた建物をさらに崩壊させ、救助活動中の作業員を危険に晒す。ライフラインなどのインフラにも追い打ちをかけ、被害を長期化させる恐れがあるのだ。英国地質調査所のロジャー・マッソン博士は、「この地域で同規模の地震は1956年以来。多くの建物は耐震設計が施されておらず、非常に脆弱だ」と指摘する。

 ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのイラン・ケルマン教授は、「地震そのものが人を殺すのではない。崩壊するインフラが人を殺すのだ」という災害時の原則に言及し、政府による事前の建築規制や都市計画の重要性を訴える。ミャンマーでは、急速な都市開発とそれに追いつかないインフラ整備、そして長引く内戦の影響も、被害を拡大させる一因となっている可能性が指摘されている。救助活動が続く中、さらなる揺れへの警戒と、脆弱なインフラの問題が、今後の大きな課題となりそうだ。

 遠く離れた出来事に見えても、地震のリスクは日本も常に隣り合わせだ。改めて備えの大切さを胸に刻みたい。

参考:Daily Mail Online、ほか

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