AIが賢くなるほど人間はバカになる?知能が“逆行”する時代が始まったのか

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イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)

AIの進化と人間の「知能劣化」

 世界中の専門家たちが声を揃えて語るのは、人工知能(AI)がいずれ人間の知能と肩を並べ、やがては超えていくという未来像である。中でもノーベル賞受賞者でありGoogle DeepMindのCEOを務めるデミス・ハサビス氏は、AIが5〜10年以内に人間の知性に並ぶと予測している。

 しかし、ハーバード大学の理論物理学者アヴィ・ローブ教授はこの予測に対して、ある皮肉な視点を提示している。すなわち、AIの進化が加速しているからではなく、「人間の知能が急速に衰えている」ために、AIとの交差点が早まっているというのだ。

 例えるなら、筋トレをやめたアスリートが筋肉を失うように、知的労働をAIに委ねた人間の脳も“使われなくなった筋肉”のように衰退していく。便利さの代償として、思考力・分析力・集中力といった人間の基礎的な認知能力が失われつつあるのである。

数字が物語る「知性の退化」

 2023年に発表されたある研究では、米国におけるIQ(知能指数)の平均が初めて下落に転じたことが報告された。調査対象は2006年から2018年の間に行われた約39万人の知能テスト結果。特に論理的思考、語彙、計算力、視覚的推論などの項目で明らかな低下が見られ、過去には右肩上がりだった“フリン効果”の逆転が確認された。

 さらに、アメリカ成人の3人に1人が「最低レベルの数的理解力しか持っていない」とする統計もある。SNSやスマートフォン、AIチャットボットなどの普及により、若者を中心に集中力や批判的思考の低下が進んでいることも、複数の心理学的研究で裏付けられている。

 とある実験では、スマートフォンの電源を切っても、手元にあるだけで認知能力が低下するという驚くべき結果も出た。スマホを別の部屋に置いた方が、記憶力・判断力が大幅に向上したという。

AIの進化は人類にとって“救い”なのか

 このまま人間の思考能力が退化し続けると、AIの台頭は人類にとって恩恵どころか脅威にすらなりかねない。AIに頼ることが前提となった社会では、「自分の頭で考える」力が不要となってくるのだ。

 アヴィ・ローブ教授は、AIによって加工された情報を「ジャンクフードのような知識」と表現する。それは一時的に満足感を与えるが、長期的には人間の“知の健康”を損なう可能性があるという。

 最も恐ろしいのは、私たちがその変化にすら気づかず、気づいた頃には「人類は自分で意思決定を下す力を失っていた」という未来である。

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教育の立て直しが未来を救う鍵

 ローブ教授は結論として、教育制度の見直しと、思考力を鍛える文化の復活を強く訴えている。フリン効果が再び右肩上がりになるような教育の仕組みがなければ、やがてAIにすべてを委ねる社会が到来し、そこからの“帰還”は不可能になるかもしれない。

 自動運転の車が崖に向かって走り出したとき、私たちがハンドルを握る術を失っていなければいいのだが──。

参考:Anomalien.com、ほか

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文=深森慎太郎

人体の神秘や宇宙の謎が好きなライター。未知の領域に踏み込むことで、日常の枠を超えた視点を提供することを目指す。

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