ただの夢じゃない…「明晰夢」は本物の意識状態だった!脳波研究が示す新たな証拠

眠りの中で目覚める――目を開けることなく、自分が夢を見ていると気づく不思議な体験。明晰夢と呼ばれるこの状態は、これまで多くの研究者たちを魅了してきた。そんな明晰夢が、ついに脳科学的に証明された意識状態であることが明らかになった。
脳波データが示す「夢の中の覚醒」
この研究を率いたのは、オランダ・ドンダース認知神経イメージングセンターのチャガタイ・デミレル氏。彼のチームは、これまでで最大規模となる明晰夢中の脳波(EEG)データセットを収集し、分析を行った。その結果、明晰夢が単なる幻想ではなく、通常の夢とは異なる脳活動パターンを示す別の意識状態であることが示されたのだ。
明晰夢中の脳は、通常のレム睡眠中とは異なり、自己認識やメタ認知といった覚醒時に特有の活動が確認された。この発見は意識が睡眠中にも独自の形で存在し得ることを示唆している。
脳内で起きる変化――覚醒と夢のあいだ
デミレル氏のチームは、5つの国際研究機関から26人の明晰夢経験者による44回の明晰夢エピソードを収集。これらの脳波データを徹底的にクリーンアップし、通常の夢や覚醒時と比較した。
その結果、右側頭頭頂接合部(自己認識や空間認識に関わる部位)ではベータ波(12〜30Hz)の活動が減少し、左側頭葉(言語や洞察に関連する部位)ではガンマ波(30〜36Hz)が増加していることが判明。これは夢の中で自分が夢を見ていると気づく瞬間、脳内で一種の「内なる対話」が行われている可能性を示している。
さらに、アルファ波(8〜12Hz)の脳内接続性が向上しており、これは通常の夢や覚醒時とも異なる特徴である。精神の拡張が起きる幻覚剤状態とは逆に、自己意識が強化されていることがわかった。

夢と現実の境界が曖昧になる瞬間
今回の研究では、脳波の複雑さや予測不可能性も分析。明晰夢中の脳活動は、通常のレム睡眠よりも複雑でありながら、完全な覚醒時には及ばないことが確認された。この「中間的な意識状態」にある明晰夢は、睡眠と覚醒の間に位置する特別な領域といえるだろう。
この研究は、明晰夢がただの夢ではなく、意識のスペクトル上に存在する新たなカテゴリーであることを科学的に証明した。さらにこの知見は、悪夢の治療やトラウマケア、創造性向上といった実用的な応用にもつながる可能性がある。
眠りながらにして目覚める脳。意識のフロンティアは、まだ夢の中に広がっているのかもしれない。
参考:ZME Science、JNeurosci、ほか
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