「ワープ航法」は夢物語じゃない――“ワームホール”で数百万光年を一瞬で旅する未来

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数百万光年を一瞬で移動する夢

『インターステラー』や『スター・ウォーズ』といったSF作品では、人類が宇宙を駆け巡り、遠い星々へと瞬時に移動する姿が描かれている。しかし、現実の宇宙は広大で、たとえ最新のロケットを使っても、太陽系の端にたどり着くまでには人間の一生を費やすことになる。

 だが近年、科学者たちは「ワームホール」という理論上の存在を使えば、数百万光年先の星々へも数秒で到達できる可能性があると語っている。この壮大なアイデアが実現すれば、私たちの宇宙観は一変するだろう。

ワームホールとは何か?――時空を貫く宇宙の“近道”

 ワームホールとは、時空そのものに開いた“トンネル”のような構造を指す。重力が極端に強く働く場所では、宇宙の“布”である時空がねじ曲がり、遠く離れた2点を橋のようにつなぐことができるという。この理論はアインシュタインの一般相対性理論に基づいており、ブラックホールと似た性質を持ちながらも、異なる場所へとつながっている可能性がある。

 リバプール・ジョン・ムーア大学の理論物理学者アンドレア・フォント博士は、ワームホールについて「宇宙の遠く離れた2地点をつなぐ時空のトンネル」であると説明する。通常の空間では何十億光年も離れている星々も、このトンネルを通れば一瞬で行き来できるというわけだ。

 バッファロー大学の宇宙学者デヤン・ストイコビッチ教授によれば、「理論上、ワームホールによってどれだけ遠くまででも移動できる」とされており、星と星の距離がいくら離れていても、ワームホールの中では数秒で到達できる可能性があるという。

ワープ航法の現実性と課題――ネガティブエネルギーが鍵

 このワームホールを利用すれば、SF作品のようなワープ航法も夢ではない。重力によって折りたたまれた時空を通り抜けることで、従来の移動距離を無視して宇宙の果てまでたどり着ける。

 しかし、問題はワームホールを安定して開いたままに保つことにある。フォント博士によれば、ワームホールには「通り抜け可能なもの」と「通れないもの」の2種類があり、通り抜け可能なタイプでも安定して開かれ続ける保証はない。強大な重力の影響でトンネルが自壊してしまうリスクが高いのだ。

 この課題を克服するために必要とされるのが、「ネガティブエネルギー」と呼ばれる特殊なエネルギーである。これは周囲の真空よりもエネルギー密度が低い状態を指し、量子物理学の世界ではその存在が理論的に認められている。実験室レベルでわずかな量を生成することは可能だが、ワームホールを安定させるには桁違いの量が必要になる。

 ストイコビッチ教授は「今の人類には到底扱えない量だが、未来の技術や、もしかすると異星文明はこれを利用しているかもしれない」と述べている。

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ワームホールの実在は証明されるのか?

 では、そもそもワームホールは本当に存在するのか。現時点では、ワームホールの存在を示す直接的な証拠は見つかっていない。しかし、アインシュタインの理論が予言したブラックホールが実際に発見されたように、ワームホールもまた、将来的に観測される可能性があると科学者たちは期待している。

 ストイコビッチ教授は、「自然界は人間の想像を超えたものを生み出す力を持っている。ブラックホールが理論上の存在から観測可能な天体になったように、ワームホールもその姿を現すだろう」と語る。

 もしワームホールが実在し、かつ人類がそれを活用できる未来が訪れれば、宇宙旅行はこれまでの常識を覆すものになる。数百万光年先の銀河へ一瞬で旅立つ日も夢ではないのだ。

 宇宙の果てへの旅は、意外にもすぐそばの“穴”から始まるのかもしれない。

参考:Daily Mail Online、ほか

TOCANA編集部

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