「文明の未来にとって最大のリスク」人口崩壊──イーロン・マスクが警鐘を鳴らす理由とは?

世界的実業家イーロン・マスクが「文明の未来にとって最大のリスク」と表現してきた“人口崩壊”の懸念が、最新の研究でさらに深刻化していることが明らかとなった。マスクは以前から、出生率の低下が経済や社会保障制度に破壊的な影響を与えると警告してきたが、新たな研究結果は、従来の人口維持に必要とされてきた出生率の基準すら甘かった可能性を示している。
出生率2.1では足りない?実は2.7が必要だった
従来、人口を維持するためには女性一人あたり2.1人の子どもを産む必要があるとされてきた。しかし最新の研究では、これでは不十分で、2.7人が新たな持続可能ラインだと指摘されている。理由としては、死亡率や男女比、生涯子どもを持たない人の割合、家庭サイズのばらつきといった変数が、これまで十分に考慮されていなかった点が挙げられる。
この研究は、「人口の持続可能性だけでなく、言語、文化的伝統、家系の多様性といった社会的構造の維持にも関わる」として、従来の出生率目標の見直しを求めている。
世界各地で進む“ベビーバスト”の現実
1960年代には5.3だった世界の合計出生率は、2023年には2.3まで低下。韓国では世界最低の0.87を記録し、日本、中国も同様に出生率が急落している。イギリスのイングランドとウェールズでは、2013年から一部地域で60%もの出生率減少が見られ、女性一人あたりの子ども数は平均1.44人と、過去最低を更新した。
こうした傾向は、教育やキャリア志向の高まり、生活費の高騰、結婚や出産に対する価値観の変化が複雑に絡み合って引き起こされている。出生率の低下が続けば、労働人口の不足、税収減、高齢化の加速といった課題が各国を襲うことになる。
イーロン・マスクの警告と専門家の見解
マスクは長年にわたり、出生率の崩壊が文明を崩壊させると訴えてきた。「偉大な文明は戦争ではなく、出生率の低下によって崩壊してきた」と彼は語る。その一方で、国連人口部門の元ディレクターであるジョセフ・チャミー氏らは「マスクは自動車の設計には長けているが、人口予測には向いていない」とやや皮肉を込めた見解を示している。
実際、世界全体の人口は2080年代半ばまで増加を続けるとされ、最近の予測では、世界人口は2080年代半ばに約103億人でピークに達し、その後緩やかに減少すると見られている。しかしながら、先進国を中心に“人口崩壊”が現実のものとなっている地域も多く、特に2050年以降の経済モデルへの影響は無視できない。

人口の“静かな危機”に向き合うとき
出生率の低下は一見、社会の成熟や自由な選択の象徴のようにも見えるが、長期的には文明の持続可能性を脅かす深刻な要因となりうる。イーロン・マスクの警告がやや過激に聞こえるとしても、世界各国が「静かなる人口の危機」に向き合い、文化や制度の再設計に取り組むべき時期に来ていることは間違いない。
参考:Daily Mail Online、ほか
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2024.10.02 20:00心霊「文明の未来にとって最大のリスク」人口崩壊──イーロン・マスクが警鐘を鳴らす理由とは?のページです。出生率、世界人口などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで