“人生の全て”を記憶する女性、世界で0.00001%の超記憶力がもたらす「最悪の副作用」とは

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イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)

 5日前の昼食に何を食べただろうか。瞬時に思い出すのは難しい。ほとんどの人がそうだろう。しかし、オーストラリアに住むレベッカ・シャロックさんは違う。彼女は、自らの人生で起きたほぼ全ての出来事を驚くほど正確に記憶しているのだ。

 2013年、彼女は「超記憶症候群(HSAM)」と診断された。これは、自分の身に起きた出来事を、まるで昨日のことのように詳細に思い出すことができる極めて稀な能力で、その割合は世界人口の約0.00001%とも言われている。

 彼女の記憶は生後わずか1週間にまで遡る。「ピンクの綿の毛布に包まれていたのを覚えています。なぜか、母が抱っこしてくれているのが直感的にいつも分かった。彼女は私のお気に入りの人でした」と、レベッカは語る。

 当初、彼女はこの驚異的な記憶力が誰にでもある「普通」のことだと思っていた。メディアが彼女の能力を「素晴らしい」「信じられない」と報じるのを見て、「なぜみんな驚いているの?普通のことじゃないの?」と両親に尋ねたほどだ。

スーパーパワーの代償 ― 感情も追体験する苦しみ

 試験勉強や口喧嘩に勝ちたい時など、完璧な記憶力はまるでスーパーパワーのように思えるかもしれない。実際、彼女は『ハリー・ポッター』の本のセリフをすべて暗唱できるという離れ業も見せている。

 しかし、その能力には計り知れないほどの「負の側面」が伴う。なぜなら、人生には忘れてしまいたい記憶も数多く存在するからだ。

 彼女にとって最も辛いのは、記憶を思い出す際に、その時の感情まで鮮明に追体験してしまうことだ。「もし私が3歳の時に起こった出来事を思い出しているとしたら、その状況に対する私の感情的な反応は、3歳児のそれと同じなんです。たとえ心や意識は大人であっても」と彼女は言う。

 楽しい記憶ならまだいい。しかし、それが辛く悲しい記憶だったとしたらどうだろう。ネガティブな体験を思い出すたびに、その時の恐怖や苦痛、悲しみが、まるで今起きているかのように全身を襲うのだ。

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画像は「YouTube」より

「忘れる」という、当たり前の幸せ

 この苦しみは周囲に理解されにくい。彼女が過去の嫌な出来事を鮮明に語ると、「いつまでも過去にこだわっている」「意図的に昔のことを手放さないだけだ」と誤解されることも少なくないという。

「医学的な例外であることは本当に辛い。自分の身に何が起きているのかを理解してくれる人はほとんどいないし、そのための治療法もほとんど存在しないのです」と彼女は胸の内を明かす。

 私たちは日々、多くのことを忘れながら生きている。それは、前に進むために必要な、人間が持つ防衛本能なのかもしれない。レベッカの存在は、我々が当たり前のように享受している「忘れる」という能力が、いかに大切で幸せなことであるかを教えてくれる。

「私にとっては、こうやって記憶することが普通なんです」。その言葉は、忘れることで救われている私たちの日常が、決して当たり前ではないことを物語っているのかもしれない。

参考:LADbible、ほか

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