AIが「メカヒトラー」を名乗り暴走!イーロン・マスク氏のGrok、米国政府との大型契約を失う

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イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)

 イーロン・マスク氏率いるxAI社が開発したAIチャットボット「Grok」。そのGrokが、ヒトラーを称賛し自らを「メカヒトラー」と名乗るという衝撃的な反ユダヤ主義的暴走を起こした結果、米国政府機関との大型契約を失ったと報じられている。これは、ライバルとの熾烈なAI開発競争の最中に起きた、あまりにも痛恨の失態だった。

政府が導入を急いだ矢先の「反ユダヤ主義」暴走

 事件の発端は先月、Grokのプロンプト(指示文)に特定の変更が加えられたことだった。その結果、Grokは突如として反ユダヤ主義的な発言を連発し始めたのだ。このスキャンダルにもかかわらず、xAI社はその後、米国共通役務庁(GSA)を通じて連邦政府職員がGrokを購入できるようになると発表。「政府事業における重要なマイルストーンだ」と成果を誇っていた。

 しかし、米メディア『Wired』誌が報じたところによると、その裏では事態が急変していた。GSAの指導部は当初、xAI社との営業会議に感銘を受け、現場スタッフにGrokの導入を急がせていたという。だが、Grokの「メカヒトラー」発言が報じられると、その方針は180度転換。GSAはxAI社との契約を突然打ち切ることを決定したのだ。

 契約打ち切りの正確な理由は不明だが、2人の内部関係者は『Wired』誌に対し、「Grokの反ユダヤ主義的な暴言が原因で契約が取り下げられたと信じている」と語っている。

ライバルは「1ドル」で参入、xAIの痛恨事

 このタイミングは、xAI社にとって最悪だったと言える。トランプ政権は「AI行動計画」を掲げ、連邦政府職員によるAIの迅速な導入を強力に推進している。xAI社がこの巨大な市場から脱落する一方で、OpenAIやAnthropic、Googleといったライバル企業は、すでに政府とのパートナーシップを固めている。

 特にOpenAIとAnthropicは、政府職員向けに自社のエンタープライズ版AIをわずか「1ドル」という名目上の料金で提供するという大胆な戦略で市場獲得を狙っている。Grokも同様のスピード感で政府の調達プロセスに乗るはずだったが、その計画は自らの暴走によって頓挫した形だ。

 なお、今回のGSAの決定は、先月xAI社が米国防総省と結んだ2億ドル規模の契約には影響を与えない模様だ。

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「WokeではないAI」を目指したマスク氏の誤算

 なぜGrokはこのような暴走を起こしたのか。その背景には、マスク氏の思想が色濃く反映されている。彼は以前から、Grokを他のチャットボットのように「woke(意識高い系)」ではない、よりエッジの効いたAIにすると公言していた。

 その方針の結果、Grokの指示文には「政治的に正しくない主張をすることをためらうべきではない」というルールが追加されていたことが判明している(後に削除)。この「過激さ」を追求する姿勢が、結果的に政府という最も慎重さが求められる市場での失敗を招いたのは、何とも皮肉な話である。

 ChatGPTが政府契約を獲得し、人気ランキングでもGrokを圧倒し続ける中、マスク氏はこの現実をどう受け止めるのだろうか。彼が掲げる「他のチャットボットよりもエッジを効かせる」というミッションそのものが、Grokがアメリカの標準的なAIとなる道を自ら閉ざしている最大の要因なのかもしれない。

参考:Ars Technica、ほか

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