【封印された奇習】女性が醜くなるため… アパタニ族の老女、顔に残る“悲しき通過儀礼”

 アパタニ(Apatani)族は、中国との国境に近いインドのアルナチャール・プラデーシュ州に住む部族だ。アパタニ族の年取った女性は、顔に刺青と大きなノーズプラグ(鼻栓)をしており、非常にユニークな風貌で知られる。

■アパタニ族の女性がするノーズプラグ(鼻栓)

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 かつてアパタニ族では女の子が初潮を迎えると、顔の刺青とノーズプラグが「大人の印」として顔に施された。このような変わった風習が始まったのは、その昔女性が他の部族の男に誘拐される事件が多かったからだということだ。そこで、ほかの部族の男の気を惹きつけないように、女性の顔をわざと醜くしたのが起源と言われている。しかし、女性が誘拐されることが無くなった1970年頃から、このノーズプラグと刺青の風習は次第に廃れた。現在、顔にこれらの装飾をしているのは年を取った女性だけだ。

 この奇妙なノーズプラグは、籐や竹から作った炭で作られる。まず木を燃やして炭を作った後、その炭を硬く滑らかな板にこすり付け、表面のでこぼこを無くす。これはまた、ノーズプラグが皮膚を傷つけたり、雑菌が傷口から入って敗血症を引き起こさないようにする彼らの知恵でもある。このノーズプラグは顔を洗ったり、就寝中も外されることはなく、古くなってくると夫が木を山から切り出してきて新たに作るのだという。

■アパタニ族の生活

 アルナチャール・プラデーシュ州はインドと中国の紛争地帯に位置し、チベットやブータンにも隣接している。現在はインド領ではあるが、インドとは異なった独特な文化を持つ。そこではアニミズム(精霊信仰)を実践する20の異なる民族が、さらに幾つもの部族に分かれて生活している。また、この地域は険しい地形や過酷な自然環境によって、近隣の民族や地域を結ぶ交通が発達せず、また統一されたこともなかった。そのため、同じ州内でも言葉、文化、宗教が違う部族が存在する事になった。

 アパタニ族は優秀な農耕民族だ。畑を耕すのに動物や農耕機械を一切使わず、人力だけで豊富な収穫を得る。そのため、経済的にも他の部族と比べてはるかに豊かで安定している。

 アパタニ族の男性の地位は、女性より高い。アパタニ族の女性によれば「昔は男性も田畑に出ていたが、今は怠け者になって仕事をしない」という。田畑の種まき、苗の植え替え、除草、収穫などすべてが女性の仕事。そして家に帰れば、家事ももちろん女の仕事である。台所仕事、料理はもちろん、野菜作り、水汲み、米搗き、掃除、洗濯、子どもの世話……家に関するほとんどの仕事は、女性が引き受ける。男性の最も重要な仕事は「一家の長であること」だという。

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画像は「YouTube」より

 顔に刺青をいれる部族は珍しくないが、大きなノーズプラグをするのはアパタニ族の女性に特有の風習ではないだろうか。そして、その意図が「誘拐されないように女性を醜くするため」というのが何とも奇抜だ。アパタニ族の女性は、自分たちの容貌をどう思っているのだろう。美しくありたいというのは万国共通の女性の願いと思われるが、彼らの価値観は少し違ったのかもしれない。もしくは、大人への儀式として従順に受け入れた可能性もあるだろう。

 アパタニ族の老女たちの顔に刻まれているのは、入れ墨やノーズプラグだけではない。過酷な自然の中で厳しい労働を日々続けてきたことを物語る、深いしわが刻まれている。しかし同時に、なんと穏やかで忍耐深い表情をしているのかと心を打たれた。

参考:「Daily Mail」ほか

 

※当記事は2015年の記事を再編集して掲載しています。

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