鬼火(ウィル・オ・ザ・ウィスプ)の正体、ついに解明か?― “マイクロ雷”が引き起こす湿地に浮かぶ青い光の謎

沼地や墓場に現れ、ゆらゆらと漂う青白い光――。古くから世界中で目撃され、エルフや妖精、あるいは死者の魂として語り継がれてきた「鬼火=ウィル・オ・ザ・ウィスプ」。何千年もの間、人々を恐怖させ、また魅了してきたこの超常現象の謎が、ついに科学の力によって解き明かされようとしている。
最新の研究が捉えたのは、火花が鬼火を発生させる、まさにその決定的瞬間であった。
謎の半分は解明されていた―“沼地ガス”の正体
鬼火の正体については、400年も前から、その半分は解明されていた。神学者ルートヴィヒ・ラヴァーターは、鬼火が、有機物が酸素のない状態で腐敗し、メタンガス(沼地ガス)を発生させる場所で多く目撃されることに気づいていた。そして18世紀後半には、科学者たちが、この光がメタンの酸化によって生じることを証明した。
現代では、夜間の冷えた空気によって、水中のメタンが気体として放出されやすくなるという温度効果さえも解明されている。
しかし、この「沼地ガス説」には、一つの大きな謎が残されていた。火が燃えるためには、必ず「発火源」が必要である。夜の冷たい湿地で、一体何がメタンガスに火をつけているのか。この謎が、鬼火を超常現象の領域に留めさせてきたのだ。

決定的瞬間を捉えたハイスピードカメラ
この長年の謎に終止符を打つかもしれない、画期的な研究が発表された。その鍵は、「マイクロ雷」と呼ばれる、ごく微小な放電現象にあった。
研究チームは、ハイスピードカメラを用いて、メタンの気泡が鬼火を生み出す瞬間を詳細に撮影。その結果、驚くべきメカニズムが明らかになった。
水中で発生したメタンの気泡は、水中を移動したり、分裂・結合したりする過程で、静電気のようにプラスまたはマイナスの電荷を帯びる。そして、気泡が空気中に放出された後、プラスに帯電した気泡と、マイナスに帯電した気泡が隣接した瞬間、その間に火花、すなわち「マイクロ雷」が飛ぶのだ。
この微小な放電が、燃焼を伴わない「非熱酸化」という化学反応を引き起こし、メタンと酸素が反応するエネルギーを、熱ではなく、主に青紫色の光として放出する。これが鬼火の正体であると研究チームは結論付けた。
この発見は、鬼火の目撃者が報告する「熱を感じなかった」という長年の謎にも、完璧な説明を与える。

妖精は、地球温暖化から我々を守っていた?
これまで、鬼火の発火源として最も有力視されてきたのは、沼地ガスに含まれる微量の「ホスフィン」という物質であった。ホスフィンは、酸素に触れると自然発火する性質を持つため、これがメタンガスに引火するのではないか、と考えられてきた。今回の「マイクロ雷」説は、それに代わる、新たな、そしてより強力な説明となる。
そして、この発見は、思わぬ形で地球環境問題にも光を当てるかもしれない。
メタンは、二酸化炭素の30倍以上もの強力な温室効果ガスである。鬼火がメタンを酸化させるということは、結果的に、より温室効果の低い二酸化炭素に変換していることを意味する。
もしかしたら、我々が「妖精のいたずら」や「死者の魂」として恐れてきた鬼火の光は、実は、地球の熱バランスを静かに守ってくれていた、自然界の精妙なメカニズムだったのかもしれない。
これでまた一つ、世界の謎が科学に奪われてしまったようだ。しかし、心配することはない。我々の足元には、まだ解明されていない謎が星の数ほど転がっているのだから。
参考:IFLScience、ほか
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊鬼火(ウィル・オ・ザ・ウィスプ)の正体、ついに解明か?― “マイクロ雷”が引き起こす湿地に浮かぶ青い光の謎のページです。発光、メタンガス、鬼火などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
科学最新記事
人気記事ランキング更新
- ・謎のハバナ症候群の“凶器”をペンタゴンが確保か?
- ・中国で“生存確認アプリ”の利用が急増
- ・2025年版「お尻から摘出された奇妙なモノ」25選
- ・一家全員の顔の変形が止まらない「シェイプシフト家族」
- ・人類史上20例、超難病「バーバー・セイ症候群」の女性
- ・エベレストで凍死寸前の臨死体験
- ・民間療法を信じて膀胱に「生きたヒル」を入れた男性
- ・ダ・ヴィンチのDNA採取に成功か
- ・古代皇帝からIT長者まで「不老長寿」に挑んだ狂気の歴史
- ・北磁極が「ロシアに向かって」急速移動! 何が起こるのか?
- ・「自力で頑張る」は危険すぎる!? 成功者ほど知っている、願望を実現させる“本当の他力”の使い方
- ・トリノの聖骸布の姿は「未知のエネルギー」が生んだのか?
- ・謎のハバナ症候群の“凶器”をペンタゴンが確保か?
- ・鉱山作業員が「完璧な三角形」のUFOを目撃。早朝の空を疾走する謎の飛行物体=オーストラリア
- ・UFOに緑の光線を浴びて"白血病”に?ブラジル・クリシャーシュ事件の真相
- ・中国で“生存確認アプリ”の利用が急増
- ・深淵に魅せられたダイバーたちの悲劇の記録
- ・マドゥロ拘束作戦で米軍の「秘密の音響兵器」が放たれたのか
- ・米兵たちが遭遇した未確認生物「ロック・エイプ」とは
- ・「妻が冷たい…」車椅子の遺体と搭乗を試みた80歳男