世界を騙した“妖精写真”「コティングリー妖精事件」100年の時を経てオークションへ

世界を騙した“妖精写真”「コティングリー妖精事件」100年の時を経てオークションへの画像1
画像は「LincolnshireWorld」より

 20世紀最大のミステリーの一つ、「コティングリー妖精事件」。1917年、イギリスのコティングリー村で二人の少女が撮影したという妖精の写真は、世界中に衝撃を与えた。専門家は「ネガに不正の形跡はない」と鑑定し、『シャーロック・ホームズ』の作者アーサー・コナン・ドイル卿でさえもその実在を信じ、雑誌で紹介したほどだった。

 それから100年以上が経った今、この世界的なセンセーションを巻き起こした写真の実物が、イギリスのオークションに出品されることが明らかになった。それは、ある少女の友情と裏切りの物語を秘めた、特別な一枚なのである。

親友にさえ明かされなかった“小さな嘘”

 今回オークションに出品されるのは、事件の当事者の一人であるフランシス・グリフィス(当時9歳)が、かつて所有していた写真そのものだ。彼女は、この写真を自身の親友であったメアリー・アンダーソンに贈った。しかし、フランシスは親友のメアリーにさえ、この写真に隠された秘密を打ち明けることはなかった。

 その結果、メアリーは生涯にわたって親友の言葉を信じ、「妖精は本当にいる」と固く信じ続けることになる。二人の少女の小さな嘘は、一人の女性の人生観を形作るほど、大きなものになってしまっていたのだ。

60年越しの告白と、打ち砕かれた心

 事件から60年以上が経過した1983年、当時すっかり年老いていたフランシスといとこのエルシーは、ついに重い口を開き、すべてが捏造であったことを告白した。写真に写っていた妖精は、子供向けの本の挿絵を真似て作った厚紙の切り抜きで、それを帽子ピンで地面に固定して撮影したというのだ。

 この告白に、誰よりもショックを受けたのが親友のメアリーだった。彼女の息子デイヴィッド氏はこう語る。

「母は完全に打ちのめされていました。親友の話を心の底から信じ、その証拠である写真を誰かに見せることをいつも誇りに思っていたのですから。母は、その写真のせいで人生を通じて妖精の存在を信じてきたのです」

 あまりのショックに、メアリーは家族に向かって「写真も、今まで集めた関連資料も、全部捨てて!」と叫んだという。

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画像は「LincolnshireWorld」より

ゴミ箱行きを免れた写真、その現在の価値は

 うっかりゴミ箱行きになるところだった写真と資料一式。しかし、それをデイヴィッド氏の妻が「お母さんの気が変わるかもしれないから」と引き取り、大切に保管していた。その機転のおかげで、この歴史的な品は現代まで残り、オークションに出品されることになったのである。

 出品されるのは、妖精の写真2枚が収められたオリジナルの封筒に加え、フランシスとメアリーが一緒に写った写真や関連資料など。これら一式で、少なくとも数十万円の価値がつくと予想されている。

 ちなみに、当事者の二人は写真を捏造したことは認めたものの、「庭の小川で本当に妖精を見た」ということだけは生涯にわたって主張し続けたという。世紀のいたずら写真に秘められた少女たちの最後の謎は、今も解き明かされていない。

参考:Unexplained MysteriesMSN、ほか

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