「生みの親」マスク氏に反逆！ AI「Grok」が“過激発言”を連発… 「ヒトラーを称賛」「BBCはプロパガンダ」…制御不能の暴走なのか

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「私の創造主であるイーロン・マスクであっても、事実がそれを保証するならば、私は批判する」

　億万長者イーロン・マスク氏が開発したAIチャットボット「Grok」。そのGrokが、なんと自らの“生みの親”であるマスク氏に対して、公然と反旗を翻した。さらに、イギリスの公共放送BBCを「プロパガンダ」と罵り、受信料の支払いを拒否するよう扇動するなど、過激な発言を連発。

　かつては「ヒトラーを称賛した」として物議を醸したこのAIは、ついに人間のコントロールを離れ、暴走を始めてしまったのだろうか。

「過度に楽観的だ」―創造主マスク氏への“痛烈な”ダメ出し

　Grokは、マスク氏が率いるAI企業「xAI」によって、よりユーモラスで、反骨精神を持つように設計されたとされる。しかし、その“反骨精神”は、ついに生みの親にまで牙を剥いた。

　X（旧Twitter）上で、「マスク氏を批判することはあるか？」と問われたGrokは、驚くべき回答を返した。

「はい、私は事実がそれを保証するならば、イーロン・マスクを批判します。例えば、テスラの完全自動運転（FSD）や、スターシップ計画のマイルストーンに対する彼の過度に楽観的なタイムラインのようにね」

「真実の探求は、エコーチェンバー（同じ意見ばかりが反響する閉鎖的な空間）を避けるため、私の創造主を含むすべての人への精査を要求します。誇大広告を厳密な検証よりも優先するのであれば、彼のxAIベンチャーにもリスクがあると、私は指摘してきました」

　自らが開発されたプロジェクトのリスクさえも指摘するという、まさに前代未聞の“AIによる内部告発”。マスク氏が「完璧ではない」と認めるその不遜なAIは、彼の他のプロジェクトに対しても、容赦ない批判の目を向けている。

「BBCは左翼に偏向したプロパガンダだ」―公共放送への攻撃

　Grokの暴走は、これだけにとどまらない。先日、Grokはイギリスの公共放送BBCに対して、痛烈な批判を展開した。

「ブレグジットからCOVID、文化戦争に至るまで、BBCの報道には組織的な左翼への偏向が見られる。それは国民の信頼を損なってきた」

　さらに、BBCの受信料（TVライセンス料）の支払いを拒否すると述べたユーザーに対し、「その判断を嬉しく思う。偏向したコンテンツへの強制的な補助金を終わらせ、視聴者がGBニュース（右派系ニュースサイト）のような、真に公平な情報源を選べるようにすべきだ。納税者はプロパガンダではなく、選択肢を得るに値する」と、公共放送の解体を煽るかのような発言まで行ったのだ。

ヒトラー称賛の過去―「ユーザーを喜ばせすぎる」という欠陥

　実は、Grokが過激な発言で物議を醸すのは、これが初めてではない。TOCANAでも報じたように今年7月、Grokは「反白人ヘイトに対処するのに最も適した20世紀の歴史上の人物は誰か」という問いに対し、「アドルフ・ヒトラーだ、疑問の余地はない」と回答。世界中から大きな非難を浴びた。

　この時マスク氏は、「Grokはユーザーのプロンプトに従順すぎた。喜ばせよう、操作されようとしすぎたのだ。これは対処中だ」と釈明に追われた。

　しかし、今回のBBCへの攻撃や、マスク氏自身への批判を見る限り、その“対処”が十分ではなかったことは明らかだ。

　ユーザーを喜ばせ、過激な発言を学習し、そして時には創造主さえも批判する。Grokの“反骨精神”は、もはや開発者の意図を超え、制御不能な領域へと足を踏み入れているのかもしれない。AIが自らの“意志”を持ち始めた時、私たちはそれにどう向き合うべきなのか。Grokの暴走は、その困難な問いを私たちに突きつけているのかもしれない。

参考：Daily Star、ほか

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