中国科学者が「サルの脳のアップロードに成功した」と発表! “シンギュラリティ”への扉か、それとも国家の“誇大広告”か

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 中国の研究者たちが、驚くべき発表を行った。彼らが開発したのは、サルの脳をモデルにしたスーパーコンピュータ。そして、その脳の構造をデジタル空間に「アップロード」することに、世界で初めて成功したというのだ。

「ダーウィン・モンキー(あるいは悟空)」と名付けられたこのマシンは、AIが人間の知性を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」への道を切り拓く、歴史的な一歩となるのだろうか。それとも、米国の専門家が指摘するように、これは中国が仕掛けた壮大な“ハッタリ”に過ぎないのだろうか。

20億のニューロンと1000億のシナプス―「悟空」の驚異的な構造

 この研究を発表したのは、中国・浙江大学の国家重点実験室の研究チームだ。彼らが開発した「悟空」は、人間の脳に似た知性を持つことから、科学研究で頻繁に用いられるマカクザルの脳を模倣して設計された。

 その構造は、まさに驚異的だ。

20億個以上の人工ニューロン: 人間の脳神経細胞(ニューロン)のように、電気パルスで互いに通信する。

1000億個以上のシナプス: ニューロン同士を繋ぎ、信号をやり取りする接合部。

 これにより、「悟空」は世界最大級のニューロモーフィック(脳型)コンピュータの一つとなった。生物の神経回路を模倣しているため、エネルギー効率も極めて高い。従来のスーパーコンピュータが数メガワットもの電力を消費するのに対し、「悟空」はわずか2000ワット、つまり一般的な家電製品と変わらない電力で稼働できるという。

アルツハイマーやがんの治療に革命?―“デジタル脳”が拓く未来

 もし、この「悟空」が本当にサルの脳を忠実に再現したものであれば、その科学的・医学的な価値は計り知れない。

 アルツハイマー病やがんといった難病のメカニズムを、細胞レベルで解明する手がかりになるかもしれない。さらに、動物実験や臨床試験を待つことなく、このデジタル脳の上で何千もの実験を瞬時に行うことが可能になる。これにより、画期的な治療薬の開発が、劇的に加速する可能性があるのだ。

 ある米国の研究者は、「もしこれが本当なら、人間の脳がどのように機能するのかという我々の理解における、巨大なマイルストーンになる」と、その潜在的な価値を認める。

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「鵜呑みにすべきではない」―米専門家が呈する“疑念”

 しかし、カリフォルニア大学の心理学准教授であるコーリー・ミラー博士は、この中国からの華々しい発表に対し、冷静な疑念を呈する。「中国から、このような実験に関する本当のデータを得るのは、一般的に困難だ。鵜呑みにすべきではない」と彼は語る。

 ミラー博士が指摘するのは、現在のハードウェア技術の限界だ。複雑な脳の機能を、マイクロチップの上で完全に再現することは、まだ不可能だと彼は考えている。「私たちの脳は、シナプスの箱が並んでいるだけではない。我々がまだ完全には理解していない、専門化された機能が存在するのだ」

 さらに、スーパーコンピュータはしばしば反復的な学習方法で作られるが、人間の脳はそれほど単純ではない、とも彼は指摘する。

AIは科学者に取って代われるか?

 一方で、ミラー博士は、たとえ「悟空」が本物であったとしても、AIが科学者の仕事を完全に奪うことはないと断言する。「AIが生物医学研究に取って代われるという考えは、あまりにも間違っている。どう機能するのかを理解せずに、何かを修正することはできないからだ」

 AIは、データ処理やシミュレーションにおいて、前例のない力を発揮するだろう。しかし、そのデータを解釈し、新たな発見へと繋げる分析的な思考は、依然として人間の科学者にしかできない、と彼は考えている。

「悟空」の誕生は、人類が自らの脳の謎を解き明かすための、新たな扉を開いたのかもしれない。しかし、その扉の向こうに広がるのが、真実の世界か、それとも巧妙に作られた幻影なのか。それを判断するには、まだ時間が必要そうだ。

参考:Popular Mechanics、ほか

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