ヘビを生で食らい、自分の尿を飲む… 灼熱の砂漠で71日間を生き延びた男の壮絶記録

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画像は「Mirror」より

 オーストラリアの広大な灼熱の砂漠を身ひとつで71日間さまよった男がいる。希望を失わずに生き延びるためにヘビを食べ、自分の尿を飲んでサバイバルしたのだ。

■灼熱の砂漠で71日間のサバイバル生活

 当時35歳のオーストラリア人男性、リッキー・メギーは2006年、ポートヘッドランドで新しい仕事を得て新しい人生を始めるために愛車の2001年式三菱チャレンジャーに乗り込み、2~3日間かけて砂漠を越える長旅に出た。

 砂漠の道を車で走っていると、道端でガソリン切れを訴える3人の男を見かけたメギーは、そのうちの1人を車に乗せて最も近いガソリンスタンドまで送ることにしたという。

 しかしその後の記憶は定かではないという。道中でこの男がメギーの飲み物に薬物を混入したか、薬物をメギーに注射したかのどちらかで、メギーは「意識を失い、混乱した」状態に陥った。

 意識を取り戻したメギーは着の身着のままで倒れていた。道端にいた3人の男たちがそばにおり、物騒なことに彼らは小銃で武装していた。メギーは靴を奪われたものの金品は奪われてはいなかった。ほどなくして彼らは立ち去ったというが、このあたりのこともあまりよく憶えていないという。

 メギーは自分がどこにいるのかも分からず、絶望的状況で砂漠に取り残された。彼は次の10日間、気温が40度を超える猛暑の中を歩き続け、何度も熱中症で意識を失った。

 2009年に刊行した自伝『Left For Dead In The Outback』の中でメギーは次のように記している。

「裸足でたった一人で歩く男にとって、そこは過酷で荒涼とした土地だった。それでも私は歩き始めた。そして歩き続けた。歩けば歩くほど、発見されるまでの距離が短くなると考えた。不完全な理屈ではあったが、それが私にできる最善の策だった」(同著より)

 メギーは生き延びるため、ヘビ、アリ、トカゲ、カエル、バッタなどを食料として食べ、暑さが和らぐ夕方に獲物を探した。また小さな池や水場を見つけて水を飲み、ヒルを捕まえて食べるようにもなった。ヒルは後に彼の重要な食料源となり生で食べるようになった。

 水がない時は、自分の尿を飲んだり、朝露を集めたりした。捕えた小動物は主に生で食べたが、捕まえたカエルは針金に刺して天日干しすることもあった。「少しカリカリ」になるまで日に晒してから食べるといいのだという。

 彼はまた、日中の焼けつくような暑さと夜の極寒を避けるため、放棄された牛舎の中にあった材料から一人用の寝床となるシェルターを作った。シェルターが結果的に自分の墓になった時のことを見込んで天井に十字架を建てた。

 ある時、メギーは酷い虫歯に襲われた。衰弱した体力を考えると放置すれば命に関わることを理解したメギーは、車の鍵を使って虫歯をえぐり出して抜いたということだ。

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画像は「Mirror」より

 こうしてサバイバルを続けていたメギーだったが、地獄の砂漠生活から71日目、車を運転中のドライバーに発見されてすぐに病院に運び込まれることになった。

 身長193センチのメギーの普段の体重は100キロ以上だったが、この時の体重はわずか45キロであった。

 搬入されたノーザンテリトリーのロイヤル・ダーウィン病院の医療スタッフは、メギーは衰弱していたものの、水分はじゅうぶんに足りていたと述べている。

 メギーの愛車は行方がわからないままで、彼を誘拐した者たちも特定されていない。驚異的な回復を見せたメギーはわずか6日後に退院した。

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画像は「Mirror」より

 メギーの話が広まるにつれ、疑惑も浮上し始めることになった。「シドニー・ヘラルド」紙は、この話は捏造されたのではないかと推測し、その信憑性には「いくらか疑問」があると述べ、メギーが「民放テレビ局」に自分の話を売り込もうとしていたと報じている。メギーのサバイバルは“自作自演”だったのだろうか。

 メギーは自身の証言を曲げず、生き延びられたのは友人や家族に再会したいという強い思いのおかげだと語っている。

 メギーのサバイバルは奇跡のように思えるが、砂漠のサバイバル専門家であるレス・ヒディン氏は、それほど驚くべきことではないと語る。ヒディン氏はアウトバック(砂漠を中心とする広大な人口希薄地帯)の自然の中では最長3年間も生き延びることができると述べ、雨期に行方不明になったため、水が入手しやすかったのだと指摘した。

 メギーは現在ドバイに住み、建設チームのマネジメントをしているという。疑惑は完全に晴れてはいないものの、この砂漠でのサバイバルが彼の人生を変えたことは間違いない。

参考:「Mirror」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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