グリーンランドで核爆弾4発が“爆発”していた! 58年前に隠蔽された米軍機墜落事故「チューレ事故」

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 現在、トランプ大統領の野心の手が伸びているグリーンランドだが、58年前の冷戦時代には核兵器搭載の米軍機墜落事故をめぐる軋轢があった――。

■グリーンランドでの米軍核爆発事故

 米ソ冷戦時代、米空軍機による北極上空の定期巡回任務で、複数の核弾頭が爆発する凄惨な墜落事故が起きていた――。

 1968年1月21日の朝、ジョン・ハウグ大尉は7人の乗組員を率いて、ニューヨーク州北部のプラッツバーグ空軍基地からB-52爆撃機を離陸させた。

 彼らの任務は戦略航空軍の極秘プログラムの一部であり、核兵器搭載可能な爆撃機を常に上空に飛ばし続ける常時空中警戒であった。

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墜落した機体と同型のB-52G USAF – Boeing B-52G at National Museum of the USAF (image source), パブリック・ドメイン, リンクによる

 爆撃機は高度1万1000メートルまで上昇し、グリーンランドのチューレ空軍基地上空を旋回し始めた。当局は北米に向けて発射されたソ連のミサイルはグリーンランド上空を通過するだろうと見込んでいた。

「Military.com」によると、この爆撃機の前方爆弾倉には熱核兵器が4発搭載されており、それぞれ長さ約3.7メートル、重さ約1040キロで、大都市を破壊できるほどの威力だという。

 ニューヨークからの飛行は極寒の中6時間にも及ぶものだったため、アルフレッド・ダマリオ少佐は離陸前に暖房吹き出し口の近くに発泡クッションを置くというアイデアを思いつき実行した。

 不幸なことに爆撃機の空調システムは機内の過熱した空気を冷却できずクッションが発火し、ゴムの焦げた臭いが機内に充満した。

 隊員のカーティス・クリスが機体の収納部の扉を開けると、金属製の箱の後ろから炎が噴き出しているのを発見し、火を消そうと消火器を2つ空にしたが、炎は燃え広がるばかりだった。

 現地時間午後3時22分、チューレの南約90マイルの地点で、ハウグ大尉は無線で緊急事態を知らせ、即時着陸の許可を求めた。

 しかしそのわずか5分後、彼は乗組員に飛行機からの避難を命令した。

 乗組員6人は無事に脱出したが、副操縦士のレナード・スビテンコは射出座席を持っていなかった。彼は下のハッチから脱出しようとしたが、その際に頭を打って転落死した。遺体は後にグリーンランド基地の北で発見されている。

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氷上に降下後救助された銃手のカルヴィン・スナップ二等軍曹(中央) unknown USAF personnel – Project Crested Ice (PDF) 9. USAF Nuclear Safety (Jan/Feb/March 1970). Retrieved on May 7, 2009., パブリック・ドメイン, リンクによる

 1968年1月21日午後3時39分、爆撃機は氷上に墜落し、4発の核兵器による通常爆発が引き起こされた。爆弾の安全装置が完全な核爆発を防いだものの、衝突と爆発により一帯の氷が溶解し、放射性のプルトニウム、ウラン、アメリシウム、トリチウムが周囲に拡散した。

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事故現場の黒ずんだ氷の空中写真。上が墜落地点 United States Air Force – Project Crested Ice, パブリック・ドメイン, リンクによる

 デンマークは1957年以来長きにわたり非核政策を実施し、自国領土内および領土内での核兵器の搬入を禁止していたため、この事故はアメリカとデンマークの関係に深刻な軋轢を生じさせた。

 事故後ただちに機体の残骸の回収と除染作業が行われたのだが、一部の地域では汚染が極めて高いレベルに達していることが判明。氷が解けると放射性燃料が地表に上昇し、グリーンランド沿岸を漂流するのではないかとの懸念を招いた。

 プルトニウムの90%を除去した大規模な浄化作業は総額940万ドル(現在の価値で約142億4420万円)をかけて1968年9月13日に終了した。

 この「チューレ事故」により、アメリカは禁止令にもかかわらず、核兵器を搭載した爆撃機をグリーンランド上空に定期的に飛ばしていたこと、そして、そうした秘密任務の一つで一帯が汚染されていたことが明らかになった。

「チューレ事故」の真実は何十年も隠蔽されたままだったが、1995年に公開された事故当時の政府内部文書によって、当時のデンマーク首相であったH.C.ハンセンが、アメリカによるチューレでの核兵器搭載飛行に暗黙の了解を与えていたことが明らかになりデンマーク国民の怒りを買っている。

 当局による隠蔽が意図されていた「チューレ事故」もまた記憶を風化させてはならない米ソ冷戦時代の“闇”の1つである。

参考:「Daily Mail」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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