死の数時間前、人間はどの感覚から失うのか? 緩和ケア医が明かした「最期の順番」…… 最後まで残る“感覚”とは

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死ぬ瞬間、人間は何を感じるのか」――。これは人類が誕生以来抱き続けてきた、究極の謎の一つだ。旅立つ本人は語ることができず、残された人々はただ見守ることしかできない。

 しかし、緩和ケアの最前線に立つ医師たちは、多くの看取りの経験から、人間が死に至る数時間前に「どの感覚から失われていくのか」という一定のパターンを見出している。

 死を目前にした体の変化を知ることは少し怖くもある。だが、そのプロセスを知ることは、大切な人の最期にどう寄り添うべきか、そして私たち自身がいつか迎える「その時」の心の準備になるかもしれない。

1. 最初に失われるのは「食欲」と「渇き」

 スタンフォード大学の緩和ケア専門家、ジェームズ・ハレンベック博士によれば、死が近づくと、感覚は特定の順番で失われていくという。

 最も早い段階でなくなるのは、意外にも「空腹感」と「喉の渇き」だ。

「まず食欲が失われ、次に喉の渇きが消えます。これは体が生命維持に不可欠でない機能を停止し始めているサインです」

 家族としては「何か食べさせなきゃ」「水分を取らせなきゃ」と焦ってしまうものだ。だが、生物学的に見れば、本人はすでにそれらを必要としない穏やかな段階に入っているのである。

2. 言葉、そして視界が霞んでいく

 次に失われるのは「言語能力」だ。意識はあっても、思いを言葉に乗せて発することが難しくなる。そしてその後に「視覚」が続く。

 多くの看取りの現場で、患者が最期に目を閉じ、静かに眠っているように見えるのはこのためだ。視界が閉ざされることで、意識はより内面の世界へと向かっていく。

 ここで興味深いのが、多くの臨死体験者が語る「眩い光」の正体だ。UCLA脳損傷研究センターのデイビッド・ホブダ所長によれば、脳は死に直面すると、生存に不可欠でない領域を切り捨てる一方で、視覚システムなどの特定の部位が一時的に「興奮状態」になるという。

 この脳内の化学物質の爆発的な放出が、現世よりも「リアルな感覚」や「美しい光」を見せている可能性があるのだ。日本の仏教で言う「極楽浄土の光」も、実は脳が旅立つ者に贈る最後のギフトなのかもしれない。

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3. 最後まで残るのは「聴覚」と「触覚」

 そして、最も重要な事実がここにある。人間が死の直前まで持ち続ける感覚は、「聴覚」と「触覚」だという点だ。

 ミシガン大学の神経科学者、ジモ・ボージギン氏の研究によれば、心停止の後でも脳のニューロンはしばらくの間、発火を続けている。患者が意識を失い、目も開けられず、言葉も発せなくなったとしても、そばにいる誰かの声や、手を握る温もりは、脳に届いている可能性が極めて高いのだ。

 ハレンベック博士は、この最終段階の状態を「昏睡ではなく、夢を見ているような状態」だと表現している。

波に運ばれるその時まで

 博士は死のプロセスを「嵐の到来」や「満ちてくる波」に例えている。

「波は少しずつ高くなり、いつの間にか、その人を海(死)へと運び去っていくのです。それがいつ始まったのか、正確に断定することはできません」

 一見すると、感覚が次々と失われていく過程は残酷に思える。しかし、それは裏を返せば、脳が苦痛を和らげ、意識を穏やかな内面世界へと誘うための精密なプログラムとも言える。

 大切な人が最期を迎えようとしているとき、もう声が届かないと諦める必要はない。視界が消え、言葉が失われても、最後まで「音」と「感触」という窓は開いている。耳元で思い出を語りかけ、手を握り続けること。それが、波に運ばれていく旅人への、この世で最も温かな送り出しになるはずだ。

参考:Mirror、ほか

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