高度な中国古代文明「石家河」は、なぜ忽然と姿を消したのか? 4000年前の石筍が暴いた都市を飲み込み人々を雲散霧消させた“大洪水の呪い”

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 長江中流域で繁栄した中国の古代文明はなぜ滅亡を遂げたのか――。新たな研究では4000年前にこの地を襲った大洪水よって住民が雲散霧消したのだという。

■洪水で滅亡した中国古代文明

 約4600年前、石家河(せっかが)は中国の長江中流域で、宮殿、城壁、洗練された水管理、そして玉器や陶器の産業など、高度で複雑な文化を築き上げて繁栄した。しかし1000年も経たないうちにこの文化は崩壊し、人々はこの地域から移住してしまったのだ。いったい何があったのか。

 オックスフォード大学と中国地質大学の研究チームが昨年11月に「National Science Reviews」で発表した研究では、石家河文化の崩壊原因は広範囲に及ぶ洪水だったことを報告している。

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石家河文化の範囲(投稿者自身による著作物, CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons

 研究チームは長江中流域にある洞窟の石筍(せきじゅん)を分析し、正確な年代を記した「降雨年鑑」を作成した。石筍は、洞窟の天井の水滴から析出した物質が床面に堆積してタケノコ状に伸びた洞窟生成物である。

 研究チームは石筍の堆積層の化学組成を高精度に測定し、地層の年代と形成当時の降雨量を特定すると共に合計925個のサンプル測定値を用い長江中流域における1000年間の年間降雨量を推定したのだ。

 分析によってこの渓谷は40年から150年続いた低降雨期(年間降雨量700mm未満)を3回、そしてそれぞれ80年と140年続いた高降雨期(年間降雨量1000mm以上)を2回経験していたことが判明した。これをこの地域の考古学的データと照らし合わせると、高降雨期には洪水の増加、広範囲にわたる湿地の拡大、そして渓谷内の大幅な人口減少と関連していたことが明らかになった。

 3950年前、過剰な降雨により長江中流域の湖沼は拡大し、低地は水浸しになり、居住や農業に適した土地は急激に減少した。この時期以降の考古学的遺跡の減少は、数世紀にわたって人口が著しく減少したことを示しており、人々は流域の都市中心部を放棄し、周辺の標高の高い地域へと分散したことを示唆している。

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 研究チームによると、今回の研究結果は、現在および将来の環境変化への対応に貴重な知見をもたらすという。分析によると、石家河文明の崩壊期における年間降水量最高値(1200mm/年)でさえ、過去120年間の年間降水量最高値(1500mm/年)を下回っていることが明らかになった。近代的な水管理技術により、この地域は中国の主要な稲作地域となっているが、気候変動による気温上昇は洪水のリスクを高め、今でも地域住民を危険にさらす可能性があるのだ。

 本研究の筆頭著者である中国地質大学のジン・リャオ博士は「これは古代社会の適応能力の限界を反映するだけでなく、気候リスクの緩和と食料安全保障の確保において、現代の水管理インフラ、農業革新、そしてガバナンスシステムが極めて重要であることを浮き彫りにしています。気候変動がもたらすこれらの極端な気象現象を効果的に管理することは、気候変動が進む世界において持続可能な社会発展を達成するための不可欠な課題となるでしょう」と説明している。

 洪水で崩壊した中国古代文明の衰亡史は現代の我々にとって決して他人事ではない。昨年7月には中国・北京を豪雨が襲ったこともニュースになっている。水害への備えの重要性を改めて認識し直さなければならないだろう。

参考:「Above the Norm News」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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