「トリノの聖骸布」は600年前から偽物だとバレていた!? 14世紀の神学者が遺した“最古の告発文”を発見

キリスト教における最大のミステリーにして、世界で最も議論を呼んでいる聖遺物「トリノの聖骸布」。
イエス・キリストが十字架から降ろされた際に包まれたとされるこの亜麻布には、謎めいた男性の全身像が焼き付いており、「本物か、偽物か」の論争が現在に至るまで何百年も続いている。
近年では、放射性炭素年代測定や3Dモデリングなどの最新科学によって「中世に作られた偽物」という説が濃厚になっているが、実はそんなハイテク機器が登場する遥か昔、600年以上も前の時代に「あんなものは金儲けのための捏造だ」とバッサリ斬り捨てていた人物がいたことが判明した。歴史の闇から発掘された“最古の告発文”とは。

14世紀の天才神学者が残した「爆弾発言」
学術誌『Journal of Medieval History』に発表された最新の研究によると、14世紀フランスの神学者であり、数学や天文学にも精通していた天才ニコル・オレーム(Nicole Oresme)の論文の中に、トリノの聖骸布を「詐欺」と断定する記述が発見された。
オレームはのちに司教にまで登り詰めたカトリックの重鎮だが、彼の言葉には忖度が一切ない。
「聖職者を含む『善人』がそう言っているからといって、それが真実だとは限らない」
彼は論文の中でこう前置きした上で、具体的な地名を挙げてこう痛烈に批判している。
「『こんな奇跡が起きた』という誰かの言葉を信じる必要はない。なぜなら、多くの聖職者は教会への献金を引き出すために他人を騙しているからだ。シャンパーニュ地方の教会で『主イエス・キリストの聖骸布がある』と言われているのは、まさにその典型である」

「悪魔の仕業」ではなく「人間の嘘」
この記述が書かれたのは1355年から1382年の間(おそらく1370年代)と推定されており、これまで最古とされてきた1389年のピエール・ダルシ司教による告発文よりも古い。つまり、これが歴史上「最初の聖骸布ディスり」ということになる。
ルーヴェン・カトリック大学のニコラ・サルゾー博士は、「オレームの特筆すべき点は、不可解な現象を『神や悪魔の仕業』とするのではなく、合理的な説明を試みようとしたことだ」と指摘する。
中世といえば、少しでも不思議なことがあればすぐに「魔女だ!」「奇跡だ!」と大騒ぎしていた時代だ。そんな中で、オレームは「目撃者の証言の信頼性」を評価し、「単なる噂話を信じるな」と警告していたのである。極めて現代的でクールな視点だ。
現代科学と600年前の「結論」が一致

トリノの聖骸布については、1988年の放射性炭素年代測定で「布の年代は13〜14世紀(まさにオレームの時代)」と判定されている。また最近の3Dモデリング研究でも、「人間の顔があのような形で平面の布に跡を残すことは物理的に不可能」と証明されている。
トリノの聖骸布の専門家であるアンドレア・ニコロッティ教授は、「今回の発見は、中世の時点でさえ、彼らが聖骸布が本物ではないと知っていたという歴史的証拠をさらに補強するものだ」と語る。
我々現代人は、最新の科学技術を駆使して「ついに聖骸布の謎を解き明かした!」とドヤ顔をしているが、実は600年前の神学者がすでに「あんなのフェイクだよ」と結論づけていたのだ。
宗教的権威が絶対だった時代に、身内の捏造を真っ向から批判したオレームの勇気と知性には感服するほかない。それでも今なお「奇跡」を信じる人が後を絶たないあたり、人間の「信じたいものを信じる」パワーこそが、最も解明の難しいミステリーなのかもしれない。
参考:Popular Mechanics、ほか
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2024.10.02 20:00心霊「トリノの聖骸布」は600年前から偽物だとバレていた!? 14世紀の神学者が遺した“最古の告発文”を発見のページです。キリスト、トリノの聖骸布、偽物などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで