娘を地下牢に24年間閉じ込めた「オーストリアの怪物」フリッツル ── 防音・密室・近親相姦、人間の尊厳を踏み躙った暗黒の記録

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「地下に消えた娘」── 24年間、誰も気づかなかった

 2008年、オーストリアの小さな町アムシュテッテンで、世界を凍りつかせる事件が発覚した。ヨーゼフ・フリッツルという当時73歳の男が、実の娘エリザベートを24年間にわたって自宅地下室監禁し続けていたのだ。その日数を計算すると、実に8642日。日本で言えば、バブル景気の絶頂期からリーマン・ショックまでの歴史がまるごと収まってしまうような、気が遠くなる長さである。

「目的のために建てられた」地下の密室

 フリッツルが用意した監禁場所は、行き当たりばったりではなかった。自宅の地下に、彼自身の手で「目的専用」の部屋を建設したのだ。防音処理が施され、外部から音が漏れないよう設計されたその空間は、入口の存在すら巧妙に隠されていた。

 地下牢は複数の小部屋から構成されており、エリザベートはその中で生活し、子どもを育て、そして長い年月をひたすら耐えた。天井は低く、自然光は一切差し込まない。外の世界の季節も天気も、彼女には届かなかった。

 フリッツルはエリザベートを、1984年、彼女が18歳のときに地下に連れ込んだ。その後、性的暴行を繰り返し、7人の子どもを産ませた。そのうち3人は地上の「公の家族」として育てられ、残る3人は地下で生活を強いられた。1人は生後すぐに死亡している。

 地上では、フリッツルは「ごく普通の市民」として振る舞い続けた。近隣住民からの疑いを受けることもなく、娘の行方については「家出した」と説明していた。エリザベートが書かされた手紙まで用意させて、その嘘を維持したのだ。近所付き合いが濃い住宅街で何十年も「バレなかった」という事実が、より一層不気味に響く。

崩壊のきっかけは「娘の娘の病気」だった

 長い沈黙が破れたのは、地下で生まれた子どものひとりが重篤な病状に陥ったことがきっかけだった。フリッツルはその子を病院に連れて行かざるを得なくなり、そこで医療スタッフの目に触れることになった。病院側の通報を受けた当局が動き、ついに24年間にわたる監禁の実態が明るみに出た。

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フリッツル家の前に集まった記者たち(2008年5月1日) By wisdom – Own work, CC BY-SA 3.0, Link

 エリザベートは2008年4月に地下から救出された。太陽の光を浴びるのは、実に24年ぶりのことだった。

 その後の裁判で、フリッツルは殺人・監禁・強姦・近親相姦など複数の罪で有罪判決を受け、終身刑が確定した。当初は精神科病院に収容されていたが、近年は一般刑務所に移送されたと報じられている。

 この事件が世界に問いかけたのは、「なぜ誰も気づかなかったのか」という疑問だけではない。人間がいかに狡猾に、また周到に、他者の人生を丸ごと支配することができるか──その冷酷な現実だ。フリッツルの地下牢は、物理的な閉鎖空間であると同時に、外の社会が作り上げた「普通の家庭」という幻想によっても成立していた。

 あの地下室の扉は、24年間一度も外から破られなかった。それ自体が、この事件の最も深い恐怖を物語っている。

参考:Daily Mail、ほか

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