天才数学教授の“あまりにも猟奇的”な焼死体… 未解決「ハータヤ事件」の怖すぎる経緯

 実に不可解で悲惨な死に方をしているものの、自殺に分類されたまま何の手掛かりもつかめない事実上の未解決事件がある。真面目な大学教授が行方不明の後に猟奇的な焼死体で発見された「スティーブン・ハータヤ事件」だ。

■町の住民になったばかりの大学教授が謎の失踪

 米ネブラスカ州北西部にある人口5,000人の美しい草原に囲まれた小さな町、シャドロンにシャドロン州立大学がある。

数学の天才教授があまりにも猟奇的な焼死体に…! 未解決「ハータヤ事件」怖すぎる経緯=米の画像1
シャドロン州立大学 「Wikipedia」より

 2006年春、46歳のスティーブン・ハータヤは数学教授としてシャドロン州立大学に赴任し、それまで住んでいたサウスダコタ州スピアフィッシュからこの地に引っ越して新生活をスタートさせたのだった。数学の天才と見なされていたハータヤ教授はすぐさま教員や学生からも好かれ、この地での学究生活は順調な滑り出しを見せていた。

 ハータヤは2005年3月にアイススケート中のアクシデントで腰を骨折し、それ以来少し独特の歩き方をするようになっていた。それにもかかわらず車を所有しなかった彼は、大学はもちろん町のどこへ行くにも徒歩で移動していたのである。彼のトレードマークでもある中折れ帽をかぶって独特の足取りで歩くハータヤの姿は、町の人々にとってすぐに見慣れたものとなっていた。

 2006年12月5日、ハータヤが初めて大学の授業を欠勤した。しかも連絡が一切ない無断欠勤であった。当日は授業のほかにも学生たちとの実験の約束もあったという。その日、町では彼が歩く姿を目撃した者は誰もいなかった。大学関係者はもちろん、友人や家族もハータヤが今どこで何をしているのか、皆目見当がつかなかった。

 警察に通報されて翌日から捜索が始まったのだが、自宅の部屋は整理整頓されていて何の異常もなかった。しかし、欠勤した前夜の午後8時24分に地元銀行のハータヤの口座から100ドルが引き出されていたことが判明した。とすれば前夜の時点でどこかへ移動した可能性もあることになる。

 何か緊急を要する用件で旅に出たとすれば、そのうち連絡が来たりひょっこりと姿を現すことも考えられなくはなかったが、失踪の日から数週間が経つとその可能性はきわめて低いと言わざるを得なくなった。

 しかし、他にどのようなシナリオが考えられるのか? 警察はハータヤが何らかの理由で計画的な逃亡を図った可能性を疑ったが、家族をはじめ周囲の人々はそれを完全に否定した。とすればやはり何らかの事件に巻き込まれた線が濃厚となってくる。

イメージ画像 Created with DALL·E

 独身のハータヤは一部から同性愛者であると考えられていたこともあり、同性愛を嫌悪する者によるヘイトクライムの犠牲になった可能性も取り沙汰されたが、彼の友人や家族はハータヤは同性愛者ではないと語っていたと証言している。

 実は当時、この街で連続殺人事件が起きており、犯人はまだ捕まっていなかった。ハータヤがこの逃亡中のシリアルキラーの犠牲になった可能性も皆無とは言い切れなかったが、証拠も手掛かりもまったくなかった。

 焦った警察はサイキック(超能力者)からも意見を聞いたというが、その女性サイキックはハータヤは個人的に恨みを持つ学生に殺害されて遺体はどこかの地下室に収められていると述べたという。

 そして気になる情報としては、ハータヤは過去にうつ病に苦しんだ時期があり、この地にやって来る前年に自殺未遂を起こしていたことがわかったのだ。とすれば自殺という線も浮上してくることになる。さまざまな事態が考えられるが、いずれにしても想像の域を超えるものではなく、捜査は完全に行き詰っていた。

■自殺なのか? 謎の焼死体が発見される

 だが、年が明けて数カ月が過ぎたところで衝撃の事実が明らかになる。

 2007年3月9日、2人の牧場主が逃げ出した牛を追って大学のキャンパス近くの丘に来た時、不可解に焼け焦げている1本の木があることに気づいた。

 その周囲に焼けているものは何もなく、気になってその木に近づいた2人は仰天。なんと木の幹に縛りつけられた焼死体を発見したのだ。

AlexaによるPixabayからの画像

 すぐさま警察官が駆けつけ、この遺体はスティーブン・ハータヤであることが特定された。酷く焼け焦げた遺体は立ったまま足首と胴体が木の幹にロープで縛りつけられていて、服のジッパーとボタンは熱で溶けていた。遺体の周囲には灯油などが入っていたと思われるペットボトルやプラスチックのタッパー容器、懐中電灯などが散乱しており、周囲からはハータヤ以外の指紋や足跡は発見できなかった。

 検死によれば、彼は重度の火傷と煙の吸入で死亡し、焼かれている間はまだ生きており、血中アルコール濃度が高くなっていることがわかった。

 当初、警察は彼が殺害されたと想定していたが、人の手にかけられた物証はなく、またどうしてこのような手の込んだ残忍な方法で死亡しているのかについても謎であった。したがって不承不承ながらも自殺に分類せざるを得なかったのだ。

 この警察の結論に、家族をはじめ周囲にいた者たちは完全に反対した。失踪直前の彼は何らメンタルの問題を抱えてはおらず、この地での新たな生活の日々を楽しんでいる姿を直接見ていたからである。

 そしてもし自殺だとしたら、なぜこのような手の込んだやり方で、しかも自ら苦しむ可能性の高い方法で行ったのか。また、この丘に来るまでにはかなりの起伏ある地形を越えて来る必要があり、足が悪かった彼にはかなりの困難を伴う移動であったはずだ。さらには、どうやって自分自身を木の幹に縛りつけたのであろうか。そして遺書も見つかっていないのだ。

 警察の公式の見解は、彼が大量のアルコールを飲んで泥酔した後、可燃物を持ってこの丘にやってきて、どうにかして自分の身体を木に縛りつけ、そして何らかの方法で自分の身体に火をつけたというものである。

 この警察の見解に反対する声は当初から多かったものの、かといって残念ながら事件を説明するほかの有力な仮説もない。解明の糸口となるような重要な進展が今後見られることがあるのか、ほぼ期待することができない事実上の未解決事件がこの「スティーブン・ハータヤ事件」である。

参考:「Mysterious Universe」、ほか

 

※当記事は2022年の記事を再編集して掲載しています。

TOCANA編集部

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