メディチ家に愛された画家、ボッティチェルリの栄光と晩年 ― 怪僧サヴォナローラに魂を奪われるまで
――エカキで作家・マンガ家、旅人でもある小暮満寿雄が世界のアートのコネタ・裏話をお届けする!
今回は今話題の『ウフィツィ美術館展 黄金のルネサンス ボッティチェリからブロンヅィーノまで』(上野・東京都美術館/12月14日まで)の中でも日本で人気が高い画家、ボッティチェルリについて取り上げよう。
ちなみに、サンドロ・ボッティチェルリの作品で一際有名な「ヴィーナスの誕生」や「プリマヴェーラ(春)」の至宝2点もウフィツィ美術館の収蔵品だが、残念ながら門外不出である。
今回の展覧会では見ることはできないものの、「パラスとケンタウロス」という名品がやってくるので楽しみなところだ。
■美術の“語源”マメ知識
ところで「ウフィッツィ美術館」のウフィッツィ(uffizi)というのは、イタリア語で「オフィス」を意味する“ufficio”(ウフィッチョ)から来た言葉だそうだ。つまりこれは、美術館そのものが、かつてメディチ家のオフィスだったことを表わしている。
メディチ家といえば、ルネサンス期に花咲いたイタリア美術のパトロンとして知られているが、それにしても世界有数の美術館の前身がオフィスだったとは、いやはやメディチ家の権勢がいかがなるものだったか驚くばかりである。
ちなみに、薬売りから身を起こし、世界初の銀行業を興すことで財を成したメディチ家だったが、家紋である6つの○は文字通り、その大元となった丸薬を表わしている。(家紋、ここにカモン…なんて、ウフッ♪)また、英語のメディスン(medicine)もメディチ家が語源だと言わている。
そう、ボッティチェルリはそのメディチ家から寵愛を受けていた画家のひとりだったのだ――。
■陽気で大食漢だったボッティチェルリ
サンドロ・ボッティチェルリは本名アレッサンドロ・ディ・マリアーノ・フィリペーピ (Alessandro di Mariano Filipepi) 。
ボッティチェルリ自身の自画像を見る限り、濃いめの二枚目ではあるものの、社交的で陽気で悪ふざけが大好きな大食漢だったようで、それも“豪華王”と呼ばれたフィレンツェの盟主ロレンツォ・メディチの当主に気に入られた理由でもあったかもしれない。
当時のボッティチェルリにつて、ロレンツォはこう詠っている。
ハエより厚かましい食いしん坊のボッティチェルリ! お前のおしゃべりの何と楽しいことよ!
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