深海に潜む未知の脅威!?潜水艦UB-85が遭遇した“海の怪物”の正体とは
第一次世界大戦中のドイツ潜水艦UB-85。その艦長は、海の怪物に襲われたと主張した―――。公式記録は機械の故障を指摘するが、艦長の証言は多くの謎を残し、海の怪物伝説と結びつき、今まで多くの人々の想像力を掻き立ててきたのだ。
深海からの訪問者
1918年4月30日、北大西洋で英哨戒艇が浮上したUB-85を発見、乗組員はあっさり降伏した。ギュンター・クレック艦長は、夜間にバッテリーを充電するため浮上した際、異様な生物に遭遇したと証言した。大きな目、角のような頭蓋骨、月光に光る歯を持つその生物は、甲板に這い上がり、艦を傾かせたという。乗組員は武器で応戦したが、生物は前部砲架にしがみつき、激しく抵抗した。最終的に生物は海へ戻ったが、艦体には深刻な損傷が残され、潜水できなくなったUB-85は拿捕された。艦長の証言はあまりにも現実離れしていて、まるで怪奇小説の一節のようだ。
公式記録との食い違いと伝説の真相
一方、英国海軍の公式記録は、UB-85は哨戒艇発見後に潜水を試みたが、ハッチの密閉不良と浸水により浮上を余儀なくされ、拿捕されたと記している。
艦長の証言と公式記録の食い違いは、長年の議論の的となっている。懐疑論者は、艦長が機械の故障を隠蔽するために、あるいは物語を面白くするために、話を脚色したのではないかと主張する。しかし、第一次世界大戦中や第二次世界大戦中に潜水艦が海の怪物に遭遇したという話は他にもあり、例えば、U-28の乗組員は、英国船を沈めた後、巨大なワニのような生物を目撃したと主張している。
これらの話は、戦争という極限状態における心理的ストレスと、広大で未知の海への畏怖が反映されたものと言えるだろう。海の怪物伝説は、北欧神話のクラーケンやネス湖のネッシーなど、古くから海洋文化に根付いており、巨大な生物との偶然の出会い、未知のものへの恐怖と畏怖といった要素が共通している。それは、海の未知の領域に対する、人間の尽きない好奇心を表していると言えるだろう。
現代の調査と残された謎
近年、海洋考古学の進歩により、UB-85事件への関心が再燃している。2016年、スコットランド沖で実施されたソナー調査で、UB-85または姉妹艦UB-82と思われる潜水艦の残骸が発見された。この発見は、艦長の証言の真偽を解明する手がかりとなる可能性があり、新たな調査のきっかけとなっている。
専門家たちは船体の詳細な調査で、艦長の証言と一致する損傷が見つかるかもしれないと考えているが、構造的な異常は沈没や海底での腐敗によるものだと主張する専門家もいる。エディンバラ大学の海洋生態学者エマ・トンプソン博士は、大型海洋生物との遭遇する可能性はあるものの、艦長の説明は既知の種とは一致しないと指摘している。「海にはまだ多くの秘密が隠されているが、UB-85の物語で語られたような能力を持つ生物は、もし実在するなら、まさに驚異的な存在と言えるだろう」と彼女は述べている。UB-85事件は、数々の書籍、ドキュメンタリー、フィクション作品に影響を与え、歴史的事実とファンタジーな要素が融合した物語は、人々の想像力を掻き立ててきた。
UB-85の物語は、現実と伝説が交錯する魅惑的な謎として、 海洋史の中に残り続けている。クレック艦長の証言は、深海に対する私たちの理解に挑戦状を叩きつけ、海にに潜む謎への好奇心を掻き立てる。今後の調査で新たな証拠が見つかり、この謎が解き明かされることを期待したい。
参考:Paranormal Globe、ほか
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2024.10.02 20:00心霊深海に潜む未知の脅威!?潜水艦UB-85が遭遇した“海の怪物”の正体とはのページです。ドイツ、深海生物、怪物、潜水艦、第一次世界大戦などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで