世界一危険な秘密結社「オクトパス」の恐怖! 怪死したジャーナリストと極秘プログラム“PROMIS”の闇

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 社会の暗部に目を向け続けているジャーナリストが自らの命を絶つとき、ひとつの重大な疑念が湧き上がってくる。それは本当に自殺なのか? 死の背後に、情報の拡散を嫌う第三者の影があるのではないか?

 このたび紹介するのは、世界を股にかけて暗躍する秘密組織と、謎の核心に迫ったジャーナリストの物語である。

■秘密結社“オクトパス”

 1991年8月9日、アメリカ東海岸ウェストバージニア州、マーティンズバーグに建つシェラトンホテル517号室の浴槽で、ダニー・カソラーロは非業の死を遂げた。

 両手首が切り裂かれ、家族宛ての遺書が残されていた。典型的な自殺にも思われる。

 が、事の成り行きを考えれば、それほど単純な出来事として片付けるにはふさわしくなかった。

 彼は死の直前まで、オクトパス、すなわち「タコ」と名づけられた強大な秘密結社の存在を解き明かそうとしていた。

 その名前の由来のごとく、地球上に無数の触手を張り巡らし、自在に影響力を行使する組織――。それがオクトパスなのである。

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ウェストバージニア州マーティンズバーグの街 画像は「Federal Highway Administration」より

■触手とのファーストコンタクト

 オクトパスに関わるカソラーロの一連の取材は、彼の死の一年半前から始まっていた。米国家安全保障局の出身者でコンピュータソフトウェア業界の大物である、ウィリアム・ハミルトンという人物に探りを入れたのが発端である。

 ハミルトンは米司法省のための非常に洗練されたプログラムの考案者である。

 プログラムは同省の要求するとおり、犯罪者の追跡と発見に役立つものではあったが、ハミルトンは受注費の水増しの容疑で訴訟を起こされ、敗訴を余儀なくされた。さりながら、それはプログラムの開発終了を意味することはなく、情報組織の怪しげな面々の手に渡って開発・改良は続行されていた。

 プログラムの名は――PROMIS。

 独自に改良を施されたそれは、ハミルトンが手がけた初期のバージョンに対し、ある決定的な違いを有していた。

 新しいバージョンには、イスラエルとイランを含む全地域において、このプログラムを利用したほぼすべての人物を米政府が監視することを可能とする、バックドアが設けられていたのである。カソラーロはこうした操作の裏に、奇怪なタコの触手がうごめく気配を感じ取ったのだった。

■世界の大事件の影に……

 彼は取材に没頭した。すると、より複雑な事実に直面することになった。

 オクトパスは、大企業、政治、軍隊、諜報機関の有力者で構成されていた。結びつきは緩やかで流動的ではあったが、そこには世界中に、かつ大規模に影響を及ぼすだけの骨格が出来上がっていた。

 カソラーロが虎穴へとさらに踏み入ると、米ソの全面核戦争が懸念された1962年のキューバ危機と、ニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件の影にも、オクトパスの関与が垣間見えた。そして1988年12月、スコットランドのロッカビーでボーイング747ジャンボジェット機が破壊され、計270人が命を落とした際にも…。彼が解こうとする謎は、より血なまぐさいものに姿を変えつつあった。

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 彼の調べたところによれば、オクトパスは世界一有名な秘密基地、米ネバダ州「エリア51」においても存在感を放っていた。オクトパスは同基地とニューメキシコ州北部の地下施設の双方へ、致命的なウイルスを作成するための研究資金を提供したと伝えられている。

 スパイ活動、諜報活動の分野で長年働いていたマイケル・リコノシウートなる人物との接触を機に、カソラーロの取材はさらなる深みへと突き進んでいった。

■疑惑の死

 彼は驚異的なスピードで取材し、第二次世界大戦後の世界中の出来事から、あらゆるオクトパスの関与を暴き出すまで続けられた。ところが浴槽における彼の死によって、全ては闇の中に葬られてしまったといえる。カソラーロの死は、果たして本当に自殺なのだろうか?

 彼は死の半日前、防衛産業界における情報源の1人であったウィリアム・ターナーという人物とのんびりとした時間を過ごしていた。カソラーロはターナーとの対話に夢中になり、興奮した様子も見せていたという。

 また警察の捜査官は、カソラーロがホテルの一室に戻った後も、オクトパスの取材について隣室の男性ととりとめもない会話をしていたことを明らかにしている。男性の証言によれば、彼には落ち込んだ様子も、何かを不安がる様子もみられなかった。

 かかる心象からの疑問はもとより、自殺と判断された遺体の状況にも疑問は残る。問題は両手首が深く切られていたということであり、片方の手首を切ることはたやすくとも、ひどく傷を負った腕でさらに片方の手首を切り裂くということは、いたって困難な試みなのである。

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『The Octopus: Secret Government and the Death of Danny Casolaro』 画像は「Amazon」より

 だが、彼の死が仕組まれたもので、口を封じられた結果であるとしても、言論は時として他者のペンを通じてよみがえる。1996年、作家のジム・キースとケン・トーマスが、彼の疑惑の死について作品をしたためた。題名の予想がつくだろうか?

『ザ・オクトパス』

 これ以外にあるだろうか? これこそ最も詳細な、ダニー・カソラーロの生涯をかけた調査・研究と彼の死の記録なのである。

参考:「Mysterious Universe」、ほか

 

※当記事は2019年の記事を再編集して掲載しています。

TOCANA編集部

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