増え過ぎた「妖精のドア」問題=イギリス

 森の中の木々に取り付けられた、小さな可愛らしい“妖精のドア”の数々――。中には装飾がほどこされたものや窓のあるもの、内部に小さなベッドなどの家具を入れてあるもの、子供どもたちが妖精にあてた手紙が入ってあるものも……。

 イギリスのサマーセット地方にあるウェイフォードの森はそんな、訪れる人々に夢を与えてくれる憩いの場所として有名だ。だが、そんな絵本のような素敵な光景の森が、危機を迎えているという。


■静かな森に200個もの“妖精のドア”が!

fairydoors1.JPG「妖精のドア」の一例 画像は「YouTube」より

 元々は1990年代にアメリカのミシガン州アナーバーで、童話作家のジョナサン・B・ライトが自宅の改装時に、子どもたちにサプライズを与える目的で作られたという妖精のドア。

 評判を呼んで今では市内に20カ所以上存在して妖精マップが作られるほどとなり、その人気が海を越えてイギリスにも飛び火したようだ。

 誰がはじめたのかは不明だが、ウェイフォードの森では最初にドアが取り付けられてからひとつふたつと増えていき、絵本から飛び出したようなその幻想的な光景が評判を呼び、多くの観光客が訪れるようになると、そのうちに森全体に広がるまでとなったという。

 もちろん、実際に妖精が作ったわけではなく(と言ってしまうと夢もないが)、地元の住民や観光客などの手によるものといわれており、出来栄えのほうもあたかも本当に妖精が住んでいそうな趣きのものから子どもが手作りしたようなものまで様々だ。

 現在では10個以上のドアが取り付けられた木もあり、全体ではなんと200個以上が確認されているのだという。


■子どもたちの夢を壊さない解決策は… 

fairydoors2.JPG「The Guardian」の記事より

 ウェイフォードの森では“妖精の花”の別名を持つ紫色のブルーベル(イギリスに自生している、国の保護植物)も咲きほこり、まさに幻想的な風景であったが、数が増えたこれらのドアを見つけて歩こうとする子どもたちや観光客によって踏み荒らされてしまっているという。

 ドアは多くの釘を木に打ち込んだり、木に穴を開けてしまっている例も多く、森の美観や環境を損ねてしまう危惧があり、ついに現地では当局がドアの作成を禁止し、撤去することとなってしまった。日本ではあまり根付いていないが、欧米では非常に身近な存在とされている妖精や精霊。妖精の存在を否定せずに、子どもたちには想像力やファンタジーを与えたいが、収集がつかなくなってしまった状況には制限を加えなければならない……。

 イギリスの妖精の森で生まれてしまった、今回のちょっとトホホな事態。何か良い解決方法はあるだろうか。
(文=Maria Rosa.S)

参考:「The Guardian」、「Unexplained Mysteries」、「UPI」ほか

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