>  > 干ばつ地に水を呼び込む「ウォーターマン」!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • コメント0

 日本人の「水と安全はタダ」信仰(!?)も昨今はかなり揺らいできているのかもしれないが、特に水が貴重なインド・ラージャスターン州において5つの川を蘇らせ、1,000を越える村々を干ばつから救ったことから「インドのウォーターマン」と讃えられている人物がいる。ラジェンドラ・シン氏である。


■古代インドの伝統技法で再び村に水を!

rajendrasingh1.JPG
BBC」の記事より

“水のノーベル賞”と呼ばれる「2015年 ストックホルム・ウォーター・プライズ」を先頃受賞したラジェンドラ・シン氏(55歳)だが、若かりし頃は大学でアーユルヴェーダ医学を学ぶ学生であった。大学卒業後、1985年にラージャスターン州に来て村々の深刻な水不足を知ることになる。

 1940年代にこの地を流れていたアーバリ川が干上がってしまって以来、水に事欠く環境から多くの村人が地元を離れてしまっていた。村に残っているのは老いて移動がままならない人々か、ほかに行くあてのない貧しい人々だけだったという。シン氏は村人を助けたいと強く思いはじめ、村が再び水を取り戻すことができないものか、本腰を入れて取り組むことにしたのだ。

 そこで彼は、近代化の中で忘れ去られてしまった古代インドから伝わる地質学、水文学、生態学にわたる独特な知恵を復活させることを思いついた。具体的には、ラージャスターンの地でかつて多くみられた伝統的な貯水池(johad)を復活させることだ。

 この貯水池は7月と8月の雨季の間に雨水を貯めてその後長く続く乾季に備えるための溜池で、かつては村に多くあったものの、イギリスの植民地支配の時代に使われなくなりほとんど残っていなかったのだ。古代から伝わる技術を改めて調べ直した彼は、かつての川の支流だった場所を選んで、砂利やコンクリートを使って手作業で貯水池を作りはじめたのだ。

rajendrasingh2.JPG
ラージャスターンに伝わる貯水池(johad)  画像は「Wikipedia」より

 貯水池を作る一方で、干上がった川の本流部分にはチェックダム(check dam)と呼ばれる堰(せき)を設けた。これは水が復活した際に川の流れがなるべく一定になるようにするためだ。ちなみにこのチェックダムは紀元前から伝わっている灌漑技術であるということだ。

 シン氏が貯水池とチェックダムを地道に作り続けて2年がたったが、その時点ではまだ目立った成果はあげられなかったという。どうせ徒労に終わるとシン氏をバカにする村人もいたというが、それでも黙々と作業を続ける彼の情熱に村人たちは次第に感化されて徐々に協力者が加わりはじめ、その後貯水池とダムはこれまでにないペースで増えはじめたということだ。

コメントする

お名前
コメント
画像認証
※名前は空欄でもコメントできます。
※誹謗中傷、プライバシー侵害などの違法性の高いコメントは予告なしに削除・非表示にする場合がございます。