インドで千を超える村を救った男! 干ばつ地に水を呼び込む「ウォーターマン」の功績

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■干上がった5つの川が甦る

 村人たちの協力もあって、シン氏の当初の目論見は見事に成功した。一年を通じて雨水が保持され1,000を越える村々で乾季の植物栽培が可能となった。そしてその後まもなく、アーバリ川をはじめこの地で干上がった計5つの川が復活したのである。これに加えて地下水の水位も上昇し森林も再生された。これを知って、かつて村を離れた人々が徐々に村に帰ってきたということだ。

rajendrasingh3.JPGラジェンドラ・シン氏 画像は「Wikipedia」より

 この成功を受けてシン氏はインドの水不足問題を解決するためのNGO「タラン・バハラット・サン(Tarun Bharat Sangh、TBS)」を創設し、1980年代からの活動で、インドの11の地域の850もの村で、これまで4,500以上の貯水池を作ってきたということだ。

 建設作業の一方でTBSはまた、水資源を著しく消費する企業が地域に工場を建てるのを阻止したり、政府に働きかけて470もの鉱物採掘現場を廃坑に追い込む活動も行なった。このためシン氏は鉱物採掘業界から激しい非難を浴びているが、彼の水資源保護活動はまったく揺らぐことはない。

 こうしてシン氏は、雨水を有効利用するための古代インドから受け継がれた技術を現代に甦らせたのだが、この技術と彼の経験は今後世界中で必要とされるものとして、ストックホルム国際水研究所(The Stockholm International Water Institute)が今回、2015年の賞をシン氏に授与することになったのだ。

「水は人間の感情に訴えるものであり、スピリチュアルな存在です。一度は干上がったアーバリ川ですが、復活した今は地元の方々にとって神聖な場所になっていますよ」と語るシン氏。彼の功績は、各地域に古来から受け継がれているその土地に則した伝統の技術を軽視してはならないという教訓にもなるし、そしてなによりも水の貴重さを思い知らさせるものでもある。
(文=仲田しんじ)

参考:「Oddity Central」、「BBC」ほか

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