ファンはがっかり? フレディ・マーキュリーの“超絶な声”の意外な謎が科学的に解明される

 1970年代から80年代にかけて輝かしい活躍を見せ、アルバムとシングルのセールスで3億枚を超えた「世界で最も売れたアーティスト」にリスト入りしている伝説のロックバンド、クイーン (Queen) ――。悲運の死を遂げる1991年までリードボーカルであった故フレディ・マーキュリー“七色の声”と賞賛され4オクターブの音域を持つといわれた名ボーカリストだったが、昨今の研究でその声の秘密が解明されつつある。彼は決して人並み外れた声の持ち主ではなかったというのだ。


■一般人と変わらなかったフレディの声

ファンはがっかり? フレディ・マーキュリーの超絶な声の意外な謎が科学的に解明されるの画像1画像は、『Hungarian Rhapsody: Queen Live in Budapest [DVD]』(Eagle Rock Entertainment)

 

『伝説のチャンピオン』や『ウィ・ウィル・ロック・ユー』など、今日でも普通に聴く機会のあるクイーンの名曲の数々だが、それらのほとんどの曲でリードボーカルを務めたのが故フレディ・マーキュリーだ。今でも耳にするフレディの歌声はまさに変幻自在で、時には低くうなり、あるいは透き通るような伸びやかな高音で歌いあげたりと、音域の広さに魅了されたファンも多いはずだ。


 しかしそんなフレディの名声に横槍(!?)が入ったかもしれない。最新の研究では、フレディの声域はごく一般的な男性の声の、それ以上でも以下でもないという、ファンにとってはショッキングな報告が発表されているのだ。特別にファンではないにせよ、彼の声が一般人と変わらないものであるとはにわかに信じがたいことだ。もしフレディの声が特別豊かな音域に恵まれていなかったとすれば、声以外に何らかの秘密があったというのだろうか。

■4オクターブの声域ではなかったフレディ

 オーストリアの音声科学者であるクリスチアン・ハーベスト氏が中心となった研究チームが先頃発表した論文によれば、フレディ・マーキュリーの魅力的な歌声は、彼の声によるものではなく“喉”によるものであると主張している。研究チームはクイーンの楽曲はもちろん、今日残されている多くの録音素材からフレディ・マーキュリーの声を分析した。その中にはメディアによるインタビュー音源なども含まれている。

 この分析は、往年のファンの思い出の中にある“神格化”したフレディ・マーキュリー像を失墜させるものになるのかもしれない。多くのファンが、フレディは高いテノールの声の持ち主と認識しているのに反し、声の分析によれば彼の主声域はテノールとバスの中間のバリトンであるという。そしてさらにショックなのは、高低自在に歌い分けているかに思えたフレディが「4オクターブの声域」の持ち主ではないことが判明したのだ。ファンであればあるほど衝撃のニュースになるかもしれない。しかしご安心を……、フレディの声自体は十人並みのものであったとしても、その“発声テクニック”は常人がまねできないひときわ優れたものだったのだ。

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