>  > 東京五輪でウイルスパンデミック起きる可能性?生態学者

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 国立環境研究所の外来生物研究プロジェクト・リーダーである五箇公一(ごかこういち)先生に、地球環境保護の基礎となる大きなテーマ“生物多様性”を全6回にわたり解説してもらうシリーズ第4回。ジカ熱やエボラなどのウィルスとオリンピックの知られざる関連と、人口爆発をしている地球では、ウイルスが人類を駆逐するかもしれないという重いテーマを語ってもらった。

【第1回 生物多様性について
【第2回 昆虫宇宙紀元説と殺人ヒアリ
【第3回 最強の生物は何? 火星の生物と、未知なる生命体の探求

——五箇先生の研究では、外来種だけでなく、ウイルスなども扱っていますよね。

五箇 我々が次に気になっているのは「目に見えないもの」なんです。たとえば、人の移動で入ってくるジカ熱やエボラなど。人間そのものの移動とともに広がってゆくこれらのウィルスがもっとも検疫しにくい。


■オリンピックなど世界的祭事で感染拡大する。なぜなら経済優先社会だから

——ジカ熱はブラジル、エボラはギニアやシエラレオネという西アフリカ……。遠い国の話のようですが?

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ジカ熱によって引き起こされる小頭症「Wikipedia」より

五箇 ジカも日本ではすでに11人が持って帰ってきています。もちろん、今夏リオデジャネイロで開催されるオリンピックも警戒が必要です。リオに行った帰りの日本人、欧米人、中国人などが日本に入国するだけで何が起こるかわからない。エボラよりジカの方が、感染拡大の危険性が高いと僕は思います。なぜならエボラは発症すれば重症化、もしくは死に至るので、患者は即、隔離されます。ジカは普通の人がかかっても、少し風邪っぽいぐらいの軽い症状で済んでしまう。なのでウィルス保有者が隔離されることなく知らない間に人間社会に入り込むんです。結果妊婦さんが罹患すると小頭症が現れる。重篤なエンドポイントが胎児にしか出ないから、はびこりやすい。潜伏期間もあるので隠れたまま広がる。現在でもブラジルには発症していない患者数自体は莫大にいるのではないかといわれています。

——今からでもオリンピックを中止にできないものなのでしょうか?

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画像は、ウマル・カーン医師「BBC」より

五箇 世界的な祭事があるときほど、検疫は難しいんです。2013年シエラレオネでエボラが流行して1万人以上が亡くなってしまいました。実は最初に数百人という患者が出た時点でウマル・カーンという現地の医師が「人の動きを止めて、国際的検疫を強化してほしい」と政府やWHO(世界保健機関)に要請したんです。ただし当時はワールドカップで経済がにぎわっている時です。アフリカの地方の病気のために世界経済は止められずに無視されてしまった。後手にまわったんですね。するとヨーロッパにまで患者が出てしまい、そこでWHOは大慌てで緊急物資や医師を送り込み、やっと封じ込めようとした。今でも患者が出ているので完全に封じ込められてはいません。勇気を持って進言したウマル・カーン医師は治療活動中に自身もエボラ出血熱ウィルスに感染して亡くなってしまいました。彼は患者の血液サンプルをアメリカのCDC(疾病予防管理センター)に送っていて、そのサンプルによりエボラ出血熱の分布拡大プロセスを明らかにするDNAデータが得られたのです。本当にすごい。その医師がまさに命を張って科学データを確保してくれたんですが、ワールドカップに妨げられ、その成果が活かされることはありませんでした。環境問題、そして疾病対策において実は一番の難敵は経済なんです

——エボラ流行の裏にはそんな話があったんですね。しかし、経済優先は恐ろしい。

五箇 ジカ熱も最初はアフリカで発見された病気です。その後、東南アジア、ポリネシアと渡り、2013年にブラジルに上陸したとされていて、遺伝子レベルでその流れは解析されています。ではなぜ2013年だったのか。実はブラジルでコンフェデレーションズカップが行われたんですね。人、モノの出入りで入ったとしか思えない

——東京オリンピックと騒いでいる場合ではないですね。

五箇 開催してもいいですが、かなり警戒しなければいけない。工事で大量の物資を運んでくるので、ウイルスもそうですが、外来のアリなどにも気をつけなければいけない。公衆衛生的には、人ですね。ジカ、エボラ以外にもSARSコロナウイルス、HIV、デングなどの疫病の侵入が加速する可能性があります。

——病気が発生しても、日本政府も経済を優先しそうですしね。

五箇 そうです。グローバリゼーションの「世界はひとつ、地球はひとつ」というのは聞こえこそいいのですが、アフリカ、ブラジルで起こったことは日本でも起こりえるという危機感をもってほしい。

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