「黒死病」に感染するとどうなるの?生死の境をさまよった末に生還した、元感染者が語る!
「黒死病(腺ペスト)」という言葉を聞いて、多くの人は何を思い浮かべるだろうか? おそらく「世界史で習った中世の病気」「今ではほとんど抑え込まれている」といった認識を持つ人が多いように思われる。しかし人類を過去複数回にわたり苦しめてきたこの伝染病は、限定的ではあるものの現代においても生き長らえ、パンデミックの再来を待ち続けているかもしれないのだ。
「黒死病(腺ペスト)」に感染し、生死の境をさまよった後に生還を果たした男性のエピソードが、1月31日の英紙「The Guardian」を始め、海外の複数メディアによって報じられ、話題を呼んでいる。ペスト菌がいかに自身の体を蝕んでいったのか、今回その恐怖を克明に語ったのは、米国人のポール・ゲイロード氏(61)だ。
■黒死病への感染経緯
オレゴン州・プラインビルの片田舎に住むゲイロード氏は、2012年のある休日、自宅のベランダで飼い猫の異変に気付く。飼い猫のチャーリーは、おなかを膨らませ、食べたネズミで喉を詰まらせているようだった。ゲイロード氏は助けてやろうとするが、チャーリーの口に手を入れている僅かな間に、指に噛み付かれてしまう。その後やっとの思いで吐き出させたネズミは、腐っているようだったという。
数日後、チャーリーは死に、ゲイロード氏の体調にも異変が現れる。高熱や鼻水など、インフルエンザのような症状、そしてリンパ腺がレモンのような大きさに腫れてしまったのだ。指から細菌が侵入したことを懸念したゲイロード氏は病院を訪れるが、検査の結果下された診断が、「黒死病(腺ペスト)」だった。
■症状は瞬く間に悪化
その後、抗生物質の投与などを受けたゲイロード氏だが、容態は瞬く間に悪化。数日のうちに臓器の活動は弱まり、手足は末端部分から壊疽(えそ)し始め、真っ黒に変化してしまった。そして肺が虚脱、心臓の鼓動も微かなものとなり、生命維持装置につながれることとなる。昏睡状態に陥ったゲイロード氏の容態はすでに限界に近く、担当医によって生命維持装置を取り外すことも一時検討されたが、27日目、奇跡的にも眼を覚まし、その後次第に症状は回復していった。
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