「アバター」の世界が現実に? 自らの意思で他者の身体を操縦できることが判明!!
■これからどう使われるの?
「この研究がさらに進展すれば、手足の麻痺など脊髄の損傷に起因する症状で苦しんでいる患者が、脳からの信号を直接神経や筋肉に伝えることによって、自らの体を再び自由に動かすことができるようになる」と語るウィリアムズ氏。決して他人の体をコントロールしようと画策するものではないと強調している。
ところで、脳から発せられる信号を用いて、リアルタイムで操ることが可能な装置はすでに実在し、最近はその技術を利用した義手が開発されるなど、応用の幅も広がってきている。しかし、人間にロボットの腕などを取り付けて操作できるようにする「ブレイン・マシン・インタフェース」と呼ばれるこの技術は、「多くのサポートを必要とし、あなたの身の回りのこと全てをこなすために現実的なものとはいえない」とウィリアムズ氏は指摘する。
つまり彼のチームの目標とは、「機械装置ではなく、麻痺してしまった自分自身の手足を再びコントロールできるようにすること」にあるのだ。そして今回の実験は、脳からの指令を神経や筋肉へと直接届けることで、実際に身体を動かすことができる、という事実を示したというわけだ。
ウィリアムズ氏は、「脳から要求される動きを身体が行うときには、多くの要素が複雑に関連している」としながらも、「どの筋肉と関節が動くのか」という点ではなく、「どの筋肉と関節が動かないのか」という点にフォーカスし、単純化することによって今回の実験を達成したのだという。また、「今回はまだコンセプトを試した段階です」「臨床的に実用性のあるものへとするために、さらに異なる動きができるようにしなければならなりません。できると思っています」とも語り、今後の研究への意欲も見せている。近い将来、この技術が障害を抱える人の希望となることを期待すると同時に、悪用されることのないよう祈りたい。
(モンペ・アザブジュバーン)
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