『Anticorps 抗体 』(赤々舎)
撮影:新納翔
このたび、560ページにもわたって1990年から2012年までの作品をまとめた写真集『Anticorps(抗体)』(赤々舎)の出版にあわせ、約1カ月間来日している世界的に著名な写真家アントワン・ダガタ氏にインタビューしてきた。ダガタ氏は現在写真家集団、マグナム・フォトに所属し精力的に活躍中で、特に写真集『Anticorps』は海外でも高い評価を受け、2013年アルル国際写真フェスティバルにおいてブックアワードを受賞した。来日にあわせ、渋谷のギャラリー・アツコバルーで7月6日まで写真展を開催中だ。
娼婦、薬物中毒者、スラム、性行為、リストカット…そしてぶれたイメージやざらついた粒子を用いた作品群によって、現実と虚構のボーダーを見失わせる写真家、アントワン・ダガタ。ここまで極限に追いつめられた現実を直視した写真家がいたであろうか。しかし、そういったイメージは彼のほんの一部でしかない。彼の分厚い最新写真集を見れば、これが1人の作家による作品であることさえ疑ってしまうほどの壮大な世界観がある。それでは、素晴らしい写真の数々とともに、彼のインタビューを紹介しよう。