「東京は、もはや人が住む場所ではない」東京から岡山に移住した日本人医師の発言が海外で話題に
■東京の子供たちの白血球が減少している
三田医師は2011年の原発事故以降、子供たちの血液検査結果を分析してきたということだが、昨年の半ば頃から子供たちの血液中の白血球、特に好中球が著しく減少してきていることを示唆している。白血球、好中球は共に人体の免疫機能を司る重要な血液細胞で、その減少は免疫力の低下を招く。当時の小平の病院を訪れた患者の症状は、鼻血、抜け毛、倦怠感、内出血、血尿、皮膚の炎症などがあり、ぜんそくや鼻炎、リウマチ性多発筋痛を患う患者も明らかに増えたという。
これらの症状を完治させることはできないと三田医師は率直に語る一方、移住や転地療養で実際に多くの患者が回復している事実を強く指摘している。「VICE」のインタビュー記事によれば、重症だった乳幼児が家族共々九州に引っ越した後に急激に病状が回復したという例や、他にも大阪、京都、四国などに生活を移した患者の症状も確実に改善しつつあることに触れている。
症状を根本的に治すには、東京を含めた東日本から離れることが一番の治療法なのか? そして三田医師本人が、今回の岡山への移住を決断し身をもって東京を離れる重要性を体現しているのだ。
「東京の人々がより安全な場所に移ってくれることを願っています。少なくとも1年のうち1カ月でも2カ月でもいいので東京を離れることを強くお勧めします」(三田医師)
■海外の反応と東日本の将来
「E News」や「VICE」の記事の読者コメント欄には、三田医師の発言についての外国人からの様々な反応が記されている。
「医学的な検証はどうであれ、子供たちのためを考えれば不安を避けて(東京を離れて)暮らすのは当然だろう」と三田医師を支持する意見もあれば、「ばかげている。他の専門家や医師に彼(三田医師)の主張をどう思うか聞いてみたらいい」と反対する意見もある。
また中には「核戦争後の世界を描いた優れたマンガやアニメが多い日本でこんなことになってしまったのは残念だ」という感想や、輸入された日本の食品に懸念を抱いているという書き込みも見られる。昨年末には日本の「和食」が世界無形文化遺産に登録されたものの、皮肉にも日本産の食品の安全性については海外の目も厳しいようだ。
しかしその一方、ここ数年の訪日外国人数は軒並み過去最高を超え、今年6月には群馬県の富岡製糸場が世界遺産に登録されてますます追い風が吹く中、今後もしばらくは訪日外国人数は上昇を続けると見込まれている。この「日本ブーム」は果たして2020年の東京五輪まで続くのだろうか。旅行先を日本に選んだ理由が「将来行けなくなるかも知れないから……」という動機でないことを切に願いたいものである。
(文=仲田しんじ)
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