STAP細胞、笹井芳樹氏の自殺 ― 囁かれる原因の1つにNHK?

STAP細胞、笹井芳樹氏の自殺 ― 囁かれる原因の1つにNHK?の画像1撮影:吉田尚弘

 5日、STAP細胞論文の責任著者の一人である理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長(52)が首を吊っているのが発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。現場は、先端医療センターの研究棟の4階と5階の間にある踊り場だったという。

 笹井氏は、カバンに3通の遺書を遺していたとされ、1通はSTAP論文筆頭著者の小保方晴子・研究ユニットリーダー(31)宛てだったそうだ。

 これについて、海外大手メディア各紙も大々的に報じており、「(笹井氏は)論文の不正に対して『深く恥じて』いた」「論文が撤回されることは日本の科学研究の恥でもあった」「(笹井氏は)幹細胞分野でトップの科学者、多数のインパクトある論文で広く尊敬されていた」など、笹井氏の功績を称える一方で、「捏造・改ざん」により撤回されたSTAP論文が与えた日本科学界への影響などについて触れている。
 
 世界も注目しているSTAP細胞の有無。まさに理研は検証実験をすすめている最中で、「笹井氏はSTAP細胞の存在には自信をみせていた」という報道もある。事実、4月に行われた笹井氏の会見では「STAP現象を前提にしないと容易に説明できないデータがある」ことも発表し、前向きに取り組んでいるように思えた。

 しかし、一部の報道によると、笹井氏は問題の発覚後から心療内科を受診していたという情報がある。小保方氏の代理人である三木秀夫弁護士が、7月末に放送されたSTAP細胞論文問題を特集したNHKスペシャル「調査報告STAP細胞 不正の深層」において、取材を避けるために逃げていた小保方氏を女子トイレまで追いかけたNHKの取材手法に対し「集団リンチ」と抗議したのは記憶に新しいが、笹井氏も週刊誌で小保方氏との不倫を報じられていた。こうした過剰な取材による心理的圧迫も少なからずあったのではないだろうか?

「小保方さんの弁護人は小保方氏の立場を『私人』として、以前フジテレビに抗議していますが、マスコミの報道は彼女を『みなし公人(公務には就いていないが、社会的影響力を持っている人物)』と捉え、取材を行っているといえるでしょう。なので、芸能人と同等の報道がなされています。それは笹井氏も同じだと思いますので、パパラッチに追い回されていた可能性はあるでしょう。NHKスペシャル『調査報告STAP細胞 不正の深層』でも、 STAP論文を作成していた当時の小保方氏と笹井氏 2人の個人的なメールのやりとりまで“不倫を匂わすかのような演出まで加えられて”読み上げられていましたからね」(週刊誌記者)

 こうした各マスコミがこぞって同じ論調で小保方氏周辺を叩いたことが、今回のような悲劇を起こした原因の1つになったと考えるネットユーザーは少なくない。

 本来、 STAP細胞が存在するならば、日本にとっても大きな功績になるはずであり、今後の検証実験によって明らかになる可能性もまだ残されている。にもかかわらず、悪人と決めつけた論調や、科学的な問題よりも、プライベート報道が優先されていたことに疑問を感じていた人間は思いのほか多かったということだ。

 1人の優秀な研究者を失ってしまう前に、何か対処はできなかったのだろうか? 今回の事件は、我々に対して重い課題を突きつけたといえるだろう。
(文=編集部)

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