イギリスでも鶏肉がアブない! 鶏肉加工現場のおぞましい実態とは?
■いつまで続く? 業者側の言い訳と隠蔽
今回、この工場が検査に不合格となった理由は、度重なる機械の故障により、むしった後の鶏の羽や摘出後の内臓が作業中の工場の床に放置され続けた事に加え、鶏を捌く前に羽をむしり取りやすくするよう、熱湯や蒸気にくぐらせるためのタンクがあるのだが、このタンクが洗浄されずに3日間放置されていた事だ。
潜入取材のビデオを検証した、鶏肉の調査官を12年続けているロン・スペルマン氏は、これについて「鳥はこの熱湯タンクにくぐらせて羽をむしられますが、そのタンクが洗浄されていなければ鶏肉はタンク内で繁殖した菌に覆われて出てくるのです」と言っている。
この恐ろしい結果に対し、工場所有者である2シスターズは「床に落ちた全ての鶏肉はゴミとして廃棄している」という告発者の証言や、はっきりと写っている映像までも否定した。そして、羽をむしる時や内臓を取り除く際に機械にそれらが詰まったとしても作業は止めないとの事で、その理由は殺される鶏のことを考えると、作業を止めて鶏を待たせる方が鶏にストレスを与え、残酷だからだそうだ。
なるほど、だが消費者の安全はどうなるのだろうか? そして熱湯を貯めているタンクについてだが、その様な事故は非常に珍しく、洗浄をしなかったのはたった1日限りだと述べた。更には検査結果として伝えられた細菌の数値に対して「全く問題ない」と言い放ったのである。
イギリス大手のスーパー、セインズベリーやマーク&スペンサー(M&S)はこの工場の顧客であった事を認めており、M&Sに関しては政府の抜き打ち検査があった2日前に、やはり事前の告知なしに工場を訪れて検査をしている。2シスターズの経営陣は工場を清掃し、労働環境の改善、そして機械の不具合があった場合には速やかに屠殺を含む作業を停止し、洗浄をする事を改善策として打ち出しているようだ。
■責任を仲良く分担!? イギリス首相のビックリ対応
数々の証言、潜入取材などによって告発され、動かぬ証拠が表に出てしまった今、イギリス政府はこれをどのように対処するのだろうか。
まずは謝罪かと思いきや、デビッド・キャメロン首相は国民に説明し、改善する事を誓うのではなく、これらの責任をTESCO、保健医療省、そして環境省と英国環境・食料・農村地域省(Defra)とに分割した。しかし、政府の広報担当者はこれを不服とし、TESCOやDefraが政府の足を引っ張っているという主張をしている。当のTESCOは今も引き続き調査中だと言い「私達は全ての申し立てを真摯に受け止め、鶏肉業者への更なる訪問、検査を行っていきます。もしも私達の厳正な基準に反するような問題が確認された場合、業者と共に解決していくまでです」と述べている。他の業者に関しても工場を再度検査したが、職の安全を脅かすような行為や違反は見られず、いくつもの改善がみられたことを報告している。さて、真相やいかに。
政府と工場、そこから鶏肉の供給を受けていた業者、そのそれぞれが責任を押し付け合い、証言や証拠をそして責任をも否定している。ビデオの中に映った鶏達は、その多くが地面にうずくまっており、中には不自然に足を伸ばして横たわったままであったり、自らの体を支えられないようにも見えた。そんな強烈な画像や映像を見てしまった今、我が食卓の鶏肉に疑問を抱かずにはいられない。
(文=清水ミロ)
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