放射性物質を食べるバクテリアが発見される! 核廃棄物の処理研究が大きく前進か?
■放射能とバクテリアの不思議な関係
この危機に対し、今回発見されたバクテリアは、ISAを食料源として利用するというのだ。ISAの分解を手助けする酸素がない場合、このバクテリアは硝酸カリウム、又は鉄などの化学物質を水の中で利用して呼吸する事さえできる。
マンチェスター大学、地球大気環境科学研究科のジョナサン・ロイド教授は「私達はこれらの地域に生息している微生物達に非常に注目しています」と語る。さらに「核廃棄物は、地中深くに何千年もの間埋められるが、その間バクテリアもその環境に順応できるようになっているのではないか」と予測している。
またロイド教授は「私達の次のステップは、このバクテリアが放射能を含む物質に対し、どのような影響を及ぼすのかを確認することです。そして将来的には、バクテリアの特殊な摂食習慣、及び自然にISAを分解する能力を用いて、地中に保管された放射性物質を安定して保つ手助けとなってくれる事を期待しています」と述べている。つまり次のステップは、極限の状況の中、バクテリアが生命を維持する過程と、この生物が核廃棄物にどのような影響を及ぼすのかを研究する事であるというのだ。
原子力発電は、他の発電に比べると安定して大量の電力を供給できる事や、酸性雨や光化学スモッグなどといった大気汚染の原因となる酸化物を排出しないというメリットがある反面、デメリットも大きく、深刻な危険を孕んだ発電方法である。日本のJAXAがひまわりを植えてセシウムを吸収させる研究に取り組んだり、フランスでは高レベルの廃液をガラス固化して貯蔵する研究を行われているなど、世界中で核廃棄物の処理法が研究されているが、未だ決定的なものはない。もしもこのバクテリアが本当に核廃棄物を食べて処理するとしたら、これは素晴らしい発見となるであろう。今後の展開に期待しつつ、引き続き節電を心がけようと改めて思うのである。
参考:「Daily Mail」ほか
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