公開したら殺す ― 原発、暴力団、宗教タブーに挑んだ渡辺文樹の恐るべき映像世界
2014.10.28 20:00
ところで『腹腹時計』以降の作品では、ランボーよろしく渡辺監督自ら銃撃戦やカーチェイスなどのアクションシーンを繰り広げ、聞き取れない台詞に辟易している観客の苦悶を解消してくれるのだが、根本のテーマが社会派だけに、何か唐突で本編から乖離した違和感を覚える。けど慣れると何だか楽しい(笑)。このアクションシーンに関して、2012年2月発行『実話 裏歴史SPECIAL』(ミリオン出版)に掲載されたインタビューで、渡辺監督はこう言及している。
「良くも悪くも、俺は戦後民主主義世代。映画だってアメリカのアクション映画に強い影響を受けてきた。個々の作品にもちろん思惑はあるが、基本的に観客が見て楽しんでもらえるものを作りたいと思っているよ」。
自説を地味に押し付けるだけでなく、観客が退屈しないようにサービスを怠らないエンタメ精神。作品の出来は、本人も「稚拙ですが」と上映会で語っていて、それは謙遜ではなく(笑)けっして完成度が高いわけではない。しかし、また会場に足を運びたくなる渡辺作品の不思議な魅力……だけど、いつどこでやってるの?
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