「イスラム国」騒動と日本のカルト教団の不気味な接点 ― 高学歴者を魅了するテロ

 中田氏自身は、研究者の間で「イスラム研究の第一人者」という評価を受ける「学究の徒」だが、その周辺には素性がはっきりしない有象無象が集まってきていた。

 「事件発覚直後、中田氏のもとにはマスコミからの取材要請が殺到した。だが、あらかじめ中田氏とパイプがなかったメディアは、彼の関係先を当たるしかなかった。その窓口となったのが、自ら『広報担当』と名乗る男性。この人物が、かなりのクセ者だった」(同)

 関係者によると、この男性は、中田氏の代理人のように振る舞い、接触してきたメディアに「中田氏を取材するなら100万円払え」と要求してきたのだという。

 一体、何者なのか。
 
 「男性は、20代前半で、かつて就活生の窮状を訴える労働団体の代表を務めていた。ところが、2012年に突如『神の啓示を受けた』として、イスラム教系の新興宗教団体を設立。それ以来、自ら『預言者』と名乗るようになった」(先の記者)

 男性と中田氏とはツイッターなどを通して交流を持ったもようだが、実は、男性は過去に世間を騒がせた、ある新興宗教の関係者との関係も取りざたされている。

 「オウム真理教から分派した『ひかりの輪』代表の上祐史浩氏だ。上祐氏と宗教団体代表という立場で対談したことをツイッターで明かし、2ショット写真も公開している。彼との関係について、『朋友』とも表現している」(捜査関係者)

 上祐氏といえば、オウム事件の最中に教団のスポークスマンとしてメディアに度々登場。教団解体後に、後継団体の「アーレフ」から分かれて「ひかりの輪」を興した“有名人”だ。

 男性の行動は、上祐氏の知名度を利用した売名行為にもみえるが、このツイッターへの投稿が捜査当局を刺激した面もあるようだ。

 「公安は男性とオウムとの接点が浮上したことで、危機感を強めたようだ。男性自身も、都内の有名私立大学出身で、警察からの事情聴取を受けた北大生や『大司教』と名乗る元東大生など、『イスラム国』絡みの活動に集まる若者は軒並み高学歴者が多い。社会に不満を抱えた高学歴の若者が集うという意味では、かつてのオウムと構図がよく似ている。それもあって、『テロの芽を早めに摘んでおこう』となったようだ」(先の記者)

 単なるカラ騒ぎで終わればいいが…。
(文=KYAN岬)


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ルポライター。元大手新聞社社会部記者。事件取材の経験が豊富。警察、裏社会に独自の人脈を持つ。

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