前日会った男に誘拐され、車で9時間かかる牧草地に連れて来られた18歳のアイティレック/林典子
――林さん自身は誘拐されないのですか?
林 それは絶対ないですね、ありえないです(笑)。キルギスの男性が外国人を誘拐したというのは聞いたことがありませんし、現地の男性たちと話をしていても、外国人を誘拐するようなことはしない人たちだと思いました。
――ちなみに変な質問なのですが、写真を撮っている時、女性として現地での身だしなみは気をつけていましたか?
林 はじめのうちは日焼け止めをしていたんですけど、だんだん面倒くさいなってきて、顔すら洗わなくなりました。取材中の状況によってはお風呂にもはいらなくなってきて、3週間、着ている服が一緒だったこともありましたね。さすがに化粧水だけはつけていたのですが、それも面倒になってしまって。でも、日本に帰ってくるとスイッチが切り変わって、身だしなみを意識するようになるものなのですよ。
――ブログを読ませてもらって、結構女性らしさを感じましたよ。
林 え、どの記事ですか? 気になりますね。普段は犬などの普通の写真も撮っているので、今制作中の新しいブログで掲載してみようかな…。
撮っている写真のせいか、なんだか怖い人に思われがちなのですが、キルギスの取材でも、馬に乗ったりと、結構遊んでいたんですよ。写真だけで人を判断するのって危険ですね(笑)。
林典子(はやし・のりこ) 1983年、神奈川県生まれ。2006年、大学在学中に西アフリカ・ガンビア共和国の新聞社で写真を撮り始める。2011年名取洋之助写真賞、12年DAYS国際フォトジャーナリズム大賞、13年フランス世界報道写真祭Visa pour l’Image(ビザ・プール・リマージュ)報道写真特集部門で最高賞を受賞。2014年、全米報道写真家協会フォトジャーナリズム大賞(2014 NPPA Best of Photojournalism)現代社会問題組写真の部(Contemporary Issue Story)1位。
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