エボラと黒魔術 ― 西アフリカで囁かれる「エボラの呪い伝説と白人の陰謀説」
西アフリカで猛威を振るっているエボラ出血熱。スペインやアメリカでもエボラ感染者が確認されており、じわじわと世界各国に広がりつつある。
長い間“対岸の火事”状態だったアメリカでは、9月末、リベリアに渡航した男性がテキサス州ダラスに帰国後エボラ出血熱を発症。アメリカ初のエボラ感染患者となったこの男性は10月8日に入院先のダラスの病院で死亡し、その4日後、当局は治療にあたっていた医療従事者が二次感染した可能性があると発表した。二次感染した医療従事者たちは回復したが、24日になるとギニアから帰国したニューヨーク在住の医師が発症。その後も、連日のように「エボラ出血熱の疑いがある患者を検査している」というニュースが流れている。
そんな中、米五大放送局のFOXのニュース番組司会者が、「西アフリカの人たちは伝統医学を信じない。それが問題なのよ。そんな人たちがアメリカでエボラを発症したら、病院なんて行かないわ。呪術医を探して頼り、サンテリアで治してもらおうとするわ。そうなったら、エボラは一気にアウトブレイクしてしまう」と発言。
これに対し視聴者から「西アフリカが抱えている問題は、エボラ患者を収容し治療する病院やベッドの数が少な過ぎることであり、誰も彼もが呪術医に頼っているわけではない」「あまりにも無知過ぎる発言。人種差別だ」と強く批難される事態となったが…。
■民間信仰がエボラ拡大の原因か?
司会者が言ったサンテリアとは、西アフリカの民俗信仰と、カトリック、スピリティズムなどが混ぜ合わさったキューバ人の民間信仰のこと。厄よけ儀式を行い、病気も治してくれると信じられている。アメリカ人の多くは、現代社会において真剣に呪術に頼る者はほんの一握りだと思っているようだが、実はこのような民俗信仰、民間信仰はエボラが蔓延している西アフリカではメジャーであり、エボラの拡散の原因となっているという説は強い。
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