高校生「カンニング自殺」裁判の争点に疑問 ― 精神科医の意見書は無視!?
2014.12.12 18:10
■過労自殺、パワハラ自殺も「故意による死亡」に?
仮に、今回提出された意見書を否定するにしても、同センター側も精神科医の意見書を出し、それらを考慮した結果の判断であったのならまだ理解できる。しかし、提出された意見書を無視し、心理学的剖検が以上の理由で否定されたのなら、過労死や過労自殺、パワハラ自殺の裁判の際に、死亡した者がどのような心理だったのかを推論することも否定されかねない。
故意に自殺を考える場合、社会問題を解決するために訴える焼身自殺がイメージされるだろう。しかし、この生徒がこうしたある種の冷静な選択的行動をしているようには思えない。私は1998年から若者たちの自殺を取材しているが、自殺のきっかけとなった出来事と、行動までが短時間である場合、逆に、何年も後になる場合などさまざまある。しかも、哲学的な場合を除けば、自殺直前の心理は、物事に囚われたり、視野が狭くなっていることが少なくない。つまり、多くの自殺において「故意による死亡」である可能性は極めて低いと思うのだ。そのため、少なくとも、裁判官は精神科医の意見書には耳を傾けるべきだと思っている。
(文=渋井哲也)
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