――最後にこれまでに体験した不思議な体験があればお聞かせください。
田中 UFOを目撃した(?)ことと、親父が死んだ時の2つかな。
18歳くらいの時に統一教会に誘われたことがあって、「教祖のいるキリスト教?」 妙だなと思って体験してみることにした。研修では、風采のあがらない田舎のおっちゃん風の講師が出てきた。講義を進めるうちに自分の言葉に酔って、頬がピンクに輝いてオーラが出てくる。なにかを信じてる人間ってこうなんだと。なにか信じてる物を持ってる時の人間の強さと輝きを感じた。そこでは、朝5時~夜中2時まで研修を受けた。ある日の夜中、研修の仲間達が「あれUFOじゃないか」って騒いでた。見るとオレンジ色の光がビューっと飛んでいて、それも10分以上。あれはUFOだったのか? いまでも謎だけれど、TVでよく見かけたUFOの映像によく似ていた。
あと、1番大きかったのは、親父が20数年前に亡くなった時のこと。胃がんの手術をして1年後に再発。妹と母は毎日、付き添いで行くわけだけど、私は仕事してるし頻繁にはいけない。12月の24~25日に東京で撮影があって、その時に妹に電話を入れた。看護婦が「年内もたないかもしれません」と言ってるというので、東京から26日の朝に神戸に戻って、すぐに病院に行こうと思った。でも、人が亡くなるのは、昼時とかあんまり聞いたことない。きっと暗くなってからだと勝手に思い込むようにして、僕は神戸で麻雀を打ち続けた。夜7時くらいになると、さすがに気になってしょうがない。麻雀を切り上げ、病院に行った。2週間ぶりに会った父は昏睡状態で母と叔父は窓際で弁当を食べていた。と、いきなり、窓の外に雹がパラパラパラッと降ってきた。「あっ、これ死ぬな」と一瞬思って、父親の方を見たら、10秒もたたないうちに、息が止まった。ゆっくりとフェードアウトするように。妹は毎日、病院に詰めていたのに息が止まる瞬間を見たのは私だけ。よく最後に1番会いたい人に会えるのを待っていたとかとか言いますが。それは偶然かも分からないけど、そのとき、計り知れない縁とか妙なことがあるんだなと。人の関係の摩訶不思議さとか縁とかって確かにあると思った。
『凍蝶圖鑑』
監督・撮影・編集・製作/田中幸夫 助監督/北川のん 企画協力/山田哲夫 撮影協力/藪田政和 音効/吉田一郎、石川泰三(ガリレオ・クラブ) 写真/谷敦志 題字・デザイン/東學 企画・製作・配給/風楽創作事務所
1月10日(土)より新宿武蔵野館にてレイトショー公開 +R18
(c) itecho.jp = 風楽創作事務所
http://itecho.jp
『カメの翼』2015年3月公開
『徘徊~ママリン87歳の夏~』2015年3月公開
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